背中だけ汗がすごい・・・原因と対策方法を解説
2022/06/1
「背中だけ異様に汗が出る」
「ちょっと動いただけで背中汗が止まらない」
「服が濡れるほど背中汗がすごい」
「さほど暑くもないのに背中汗が出る」
このような症状に当てはまる人は「背面多汗症」かもしれません。
多汗症は、「特定の部位、あるいは全身から多くの発汗がある症状」として知られています。
脇や足、手のひらなど様々なところから汗が滲んでくることもありますし、脇や足はなんともないのになぜか、背中だけ汗がびっしょりという方もいるようです。
当記事では背中汗の原因、対策法、治療法を解説しています。
しかし、脇や足はなんともないのになぜか、背中だけ汗がびっしょりという方もいるようです。このような方も多汗症なのでしょうか?
【目次】
■背中の汗が多いのは背面多汗症かも
人よりも汗をかきやすく、心理的な緊張が原因で汗をかいてしまうことが多い場合、多汗症である可能性があります。 幼少期から多汗症である場合、思春期になると多汗症を強く意識してまうことで、かえって悪化してしまうこともあります。
また、多汗症は緊張したときに顕著に起こることもあります。
人はだれしも緊張すると汗をかきやすいものですが、多汗症の人は緊張すると人の何倍もの汗をかいてしまいます。
当然、手のひらなども汗で濡れていますので、多くの方が他人に迷惑をかけていないか不安になってしまうそうです。
お店でおつりを受け取るときや会社で書類を受け取るときなど、相手と手を交える場面は意外と多いものです。
そのため、多汗症の方は相手に不快感を与えたくないというプレッシャーから、人との交わりを避けてしまうこともあります。
しかし、なかには手のひらや脇などは汗をかかないものの、なぜか背中だけ汗をびっしょりとかく人もいるようです。
この場合は、背面多汗症の可能性があります。多汗症の方のように人に不快感を与えることは少ないかもしれませんが、汗で背中に服がくっついてしまったり、汗臭いにおいがしてしまったりと、背面多汗症ならではのお悩みもあるはずです。
■背中汗の原因は?
背面多汗症を含め、多汗症は痛みがあまりない疾患です。
なので、あまり注目されませんが多汗症の原因は脳に問題があるようです。汗をかいて体温調整をするためには、脳の中にある中核が汗腺に指示を出します。
そもそも、人が汗をかくのは体温を調整するためで、汗をかくことにより適切な体温を保つことができています。
そうすることで、暑い中でも生命維持をしているのですね。
ところが、背面多汗症や多汗症の人たちは中核がほかの人よりも過敏なため、たくさんの汗をかいてしまい、背中など特定の場所だけ汗でびしょびしょになってしまいます。
この背面多汗症は、多汗症とは異なる疾患なのでしょうか?
結論からいうと、この背面多汗症もいわゆる多汗症と呼ばれるものの一種で、人によって背中の発汗が著しい場合は、「背面多汗症」と診断されるケースがあるのです。
この背面多汗症が気になり始める方が多いのが、やはり夏のシーズンです。もともと高温多湿な日本。多くの方が通勤・通学時の汗に悩まされることが多いのですが、最近ではバックパックを移動に用いる方も少なくありません。
背中はむれやすく、特に発汗が気になる部位ではあります。
そのため、背中の汗はしかたないと割り切っている方も多いのかもしれません。
しかしながら、あまりに量が多く下着が透けて見えてしまうほど汗をかいてしまうなど、日常生活に支障が出る場合もあります。
こうした問題に耐えかねて、病院で受診をする方が多いです。
背中はもともと汗をかきやすい部分のため、「ちょっと自分は汗っかきなだけなんだ」と思っている方が多いのも事実です。
しかし、気温にかかわらず心理的な緊張などで、背中だけ異常に汗をかく場合は背面多汗症の疑いがあります。
プレゼンや食事など、集団で過ごす場合に「汗をかいたらどうしよう…」と思えば思うほど、汗が出てきてしまうのは辛いものです。
気温などの外的環境が原因ではなく、心理的な緊張で「特定の部位だけ汗をかいてしまう」のが、多汗症の大きな特徴といえるでしょう。
■背中汗の対策方法
背中は発汗量も多く範囲も広いため、人の目につきやすかったり、汗臭さが気になったりすることも多い部位です。また大量にかいた汗をそのままにしておくと、汗が冷えて体温が下がる原因にもなります。
汗が気になって困っている方に、すぐに日常生活に取り入れられる方法をご紹介しますのでぜひお試しください。
インナーの下に汗とりタオルを重ねる
どうしても背中は汗がかきやすい部位になりますので、かいてしまう汗に対して対処する方法が良いでしょう。もしかしたら小さい頃にご経験された方もいるかもしれませんが、下着と背中の間にタオルを入れる方法がオススメです。
これは汗をタオルに吸わせ、汗を掻いた後にすっとタオルを簡単に抜き取るだけの方法ですので、着替える手間もかからず、トイレの個室などで抜き取ることができます。
現在ですと市販されている汗取りタオルというものもありますが、余っているタオルをハサミで切って工夫して作ることもできます。
タオルに汗を吸わせることで、洋服の汗ジミが出来ないまたは少なく済みますし、着替えが出来ない状態で洋服の汗が冷えて体温を下がり過ぎてしまうリスクも避けられます。
背中を清潔に保つ
かいた汗をそのままにしておくと、お肌の乾燥の原因になったり、汗に含まれる塩分や老廃物によって雑菌が繁殖し肌トラブルの原因になったりもします。
汗をかいたらこまめに拭きとり、また毎日キレイに洗って清潔に保つことが大切です。
制汗剤の使用はオススメしません
発汗をコントロールするアイテムがあり、「手足用」「ワキ用」というように使用範囲を設けているものがほとんどです。しかし、それらのアイテムを背中などにも使用しているケースも散見されます。
汗腺に蓋をして発汗を抑制するアイテムの中には、使用後かゆみやヒリヒリ感、を催すこともあります。背中などの広範囲への使用はオススメ致しません。
背中の汗をご自身でコントロールすることは限界があります。背面多汗症の場合、基本的には皮膚科を最初に受診し、治療を受けながら改善を図るのが一般的です。
それでは、どのような治療法があるのでしょうか?
■背中汗の治療方法
背面多汗症は病院で簡単に治療を行うことができます。治療の方法はいくつかありますので、主治医と相談しながら決めましょう。
薬物治療
胃潰瘍に使われる薬を飲むことによって、症状を改善できる可能性があります。
外用薬
外用薬も背面多汗症の治療で用いられます。この治療法は、皮膚に問題のない多汗症の方が行う治療法です。
外用薬を皮膚に塗ると発汗が少なくなるといわれていますが、 効果には個人差があります。
保存療法
多くの患者さんに行われているのが「塩化アルミニウム」を用いた薬を背中に塗ることで改善を図る治療。
いわゆる「保存療法」と呼ばれる治療方法で、手術などのように身体を傷つけずに行えるのがメリットです。
ふだん使うような塗り薬と同じく、1週間に1回ほど背中に塗るだけで終えられます。
そのため、初めて背面多汗症の治療をするという方にも行いやすいというメリットがあります。
(均一に塗ってもらうために、家族などほかの人に塗ってもらうことをおすすめします)
この塩化アルミニウムを含む外用薬はネットなどで購入することも可能です。しかし、人によってはかぶれなどの副作用が起こることもあります。
そのため、病院で症状を伝え、診断の後に処方してもらうことをおすすめします。
万が一、肌にトラブルが起こった際にも対応してもらえるためです。
場合によっては・・・
場合によっては脳の手術を行うこともあります。
先ほども述べたように、背面多汗症は脳の働きが原因で起こっている可能性もあります。つまり、 脳の中核の働きを抑制することで根本的な解決が期待できると考えられています。
しかしながら、脳の手術は現実的ではありませんので、まずは上記のような内服薬や外用薬で改善されるかを試してみましょう。
手術は背面多汗症の治療のために行われるのはまれで、手のひらに汗をかくタイプの多汗症の人が、「どうしても症状を改善したい」と希望した場合に外科的手術のリスクを承知のうえで行うものです。
ちなみに、ボトックスを使った治療もありますが、背中だと施術が広範囲にわたるため、あまり推奨されていません。
(ワキなどの比較的、面積の狭い場所に行うのが一般的です。)
■背中汗の病院選び
このように病院に行けば、背面多汗症の症状を改善させることができるかもしれません。
しかし、背面多汗症の治療はどこでも良いというわけではありません。少なくとも多汗症の治療の説明が公式サイトにあり、治療実績のある病院で診察を受けることをおすすめします。
背面多汗症はワキなどの多汗症に比べると相談は少ないです。大西皮フ科形成外科では、通常の多汗症をはじめ背面多汗症の患者さんの治療実績もあります。ぜひ、お気軽にご相談ください。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。