大量の汗、もしかしたら・・・気づかれにくい多汗症について
さほど暑いくもないのに汗をかいたり、人と比べて明らかに汗の量が多かったり、したたり落ちるほど汗をかいていたら、もしかしたら多汗症かも知れません。
症状のひどい多汗症だと、日常生活に支障をきたすほど、大量の汗をかきます。
小児期から思春期にかけて発症してから、社会人になっても続く方もいらっしゃいます。
しかし、多汗症はまだまだ認知度が低く、そのまま何も対処せずに、自分は汗っかきの体質なんだと諦めて、何もしない方や、制汗剤などで対応している方が多いです。
今回は、多汗症について詳しく解説していきます。
もし、あなたの症状が当てはまったり、日常生活に支障をきたしているようなら、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
大量の汗にお困りではないですか?
なんだか、自分はすごく汗っかきで、他の人に比べて、汗の量が多い気がするという人も少なくありません。
通常の汗と、多汗症の汗は、どのようにして見分ければいいのでしょうか?
通常の汗
どんな人でも、体温調節のためや、皮膚が乾燥しないために、汗をかきます。
汗の種類は、3つあります。
・温熱性発汗
気温が暑い日や、運動をした時に、上昇した体温を下げるために、手のひらや足の裏以外の全身から汗をかきます。
夏などの暑い日に、激しい運動をすると、1時間に2リットルほどの汗をかくことも。
・精神性発汗
大勢の人前で話したりする場面で緊張した時や、驚いた時に出る汗です。
精神的なものから出る汗なので、精神性発汗と言われます。
手のひらや足の裏、脇の下などの特定の部分にだけ、短い時間発汗します。
・味覚性発汗
香辛料などが入った辛い食べ物を食べた時に、鼻や額などに汗をかきます。
味覚の刺激から反射的に起こり、食べ終わると汗もひきます。
多汗症の汗
汗は誰でもかきますが、通常の汗や汗っかきの体質ではなく、異常な量の汗をかいて日常生活に影響を与える状態を多汗症と言います。
多汗症には、全身に大量な汗をかく全身性多汗症と、特定の部分(脇、手、足、顔)だけに大量な汗をかく局所性多汗症があります。
思春期から中年までの幅広い層に見られる病気で、局所性多汗症で悩んでいる方が多いです。
多汗症は日常生活にも影響があり、汗が指や手からぼたぼた落ちたり、紙が湿って書けなくなったり、人と握手が出来なかったり、冬でも衣服の汗じみがきになったりなどの症状があります。
日本人の7人に1人は多汗症に悩んでいると言われていますが、実際に医療機関にかかっている割合は1割以下とのことです。
多くの方が汗に悩んでいるのに、多汗症を対処せずにそのままにしているようです。
発汗のメカニズム
汗をかく一番の役割は、体温調節をするためです。
汗は汗腺から分泌されるのですが、人間には全身にある「エクリン汗腺」と、特定の部分にだけある「アポクリン汗腺」の2種類があります。
体温調節するためにかく汗は、エクリン汗腺から分泌される汗です。
汗はもともと血液で、汗腺でろ過されて、汗として分泌されます。
エクリン汗腺から分泌される汗は、99%が水分で、それ以外はほとんどが塩分で出来ていて、その他にも、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、重炭酸イオンなどがわずかに含まれています。
多汗症について(発汗部位)
特定の部分だけ発汗する「局所性多汗症」で、ご相談の多い部位は「手掌」「足裏」ですが、他にも汗をかきやすい部位があります。
頭、顔、脇、背中などです。
治療方法(部位によって保険適応もあり)
発汗する部位によって、治療方法が変わってきます。中には、健康保険が適応する場合もあります。
それぞれの部位別におすすめの治療法をご紹介します。
イオントフォレーシスは、微弱電流の流れる水に、10~20分間ほど手足を浸すことで、手足の多汗症を治療する方法です。
メスや注射を使わないため、幅広い年齢の方に治療を受けていただけます。
また、健康保険が適応する治療法なので、費用を抑えることが可能です。
しかし、デメリットとしては、効果が2週間程度しか持続しないため、2週間に1回のペースで通院しなければいけません。
【イオントフォレーシスの料金】
1,000~2,000円程度(3割負担の金額)
ボトックス治療とは、ボツリヌス菌を作る天然のたんぱく質を、注入することで、筋肉を動かす時に分泌する「アセチルコリン」を抑えて、発汗を抑える治療法です。
効果は注入してから、2~3日後に効果が現れて、約6ヵ月ぐらいしか効果が続かないため、約半年に1回、注入する必要があります。
しかし、注射するだけなので、体への負担が少なく、ダウンタイムもないため、気軽に出来る治療法だと言えます。
【ボトックス治療の料金】
・前頭部…100,000円(税抜)
・後頭部(襟足)…100,000円(税抜)
・頭全体…180,000円(税抜)
・顔…120,000円(税抜)
ミラドライは、皮膚の上からマイクロウェーブと呼ばれる電磁波を照射して、熱でエクリン汗腺とアポクリン汗腺を壊す治療方法です。
汗腺はマイクロウェーブを照射したら、すぐに壊れるため、直後に多汗症の悩みから解放されます。
脇の多汗症の治療法は、今まではメスを使った手術が一般的でしたが、メスで皮膚を切開すれば、当然キズ跡が残ったり、合併症や感染症などのリスクがあり、ダウンタイムも必要でした。
しかしミラドライは、キズ跡が残ったり、合併症、ダウンタイムの心配がありません。
2~3日間は、激しい運動は出来ませんが、日常生活での制限はほぼないです。
また効果は半永久的で、ミラドライを受けた9割の方が高い効果を実感しています。
【ミラドライの料金】
・モニタープラン(両脇)…250,000円(税抜)
アンケートの記入をしていただきます。(広範囲照射、重ね打ちなし)
・通常プラン(両脇)…1回目300,000円(税抜)/2回目135,000円(税抜)
当院オリジナルである広範囲照射と、重ね打ち照射を行います。
・保証付きプラン(両脇)…400,000円(税抜)
当院オリジナルである広範囲照射と、重ね打ち照射を行い、1年以内の2回目の照射は無料になります。
上記の料金に、診察代、薬代、麻酔代は含まれているため、追加で料金を請求することはありませんので、ご安心ください。
また、通常プランと、保証プランに付いている、広範囲照射と、重ね打ち照射も、料金は一切かかりません。
気づかれにくい多汗症、当院で治療しましょう
大量の汗をかいて日常生活で困ってはいるけど「自分は汗っかきなんだ」と思って、それが病気だということに気づかない方は多くいらっしゃいます。
多汗症でなければ、生活に支障が出るほど、大量の汗をかくことはありません。
多汗症になる原因は、主に精神的だと言われています。
汗を気にしなければ、多汗症が改善されることがありますが、気にしてはいけないと考えれば考えるほど、余計に気になってしまうものです。
そこで早めに病院にかかり、治療をすれば、汗の悩みが軽減され、精神的な負担も減るはずです。
当院では、多汗症の治療も行っていますので、生活に支障が出るほど汗に悩んでいるなら、本格的に治療していきましょう。
患者様一人ひとりの悩みや希望を聞きながら、最適な提案をさせていただきます。
多汗症は病気として認めれていて、治療によっては、健康保険が適応することがありますので、ぜひ一度ご相談ください。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。