多汗症に効くお薬ってあるの?保険適用される?
2017/09/22
ワキガのように目立った臭いは無いものの、暑くもないのにストレスも感じていないのにひたすら大量の汗が出続ける多汗症。昔は単なる「汗っかき」として片付けられてきましたが、今では病気として認知され、良い薬も出ています。
①多汗症に効くお薬ってあるの?
多汗症の治療は微弱な電流を使ったり、所謂ボトックス注射を使ったりといった比較的簡便なものから、胸腔鏡手術によるものなど様々あります。いずれも当然症状は緩和されますが、この治療を行ったら完全に汗からは解放される!というようなものは今のところありません。継続的に治療を行う必要があったり、効果が局所的であったりすることが普通です。であれば、なるべく簡単で楽に続けられる治療法で多汗症と付き合いたい、そんな方にお勧めなのが投薬治療です。
もっとも有名な薬は「プロバンサイン」という抗コリン剤です。人が汗をかくときは、脳から体温を下げるように指令が出て、その指令が交感神経に伝わります。すると交感神経からアセチルコリンという物質が分泌され、汗腺に汗を出すよう働きかけるのです。抗コリン剤はこのアセチルコリンの働きを抑制し、汗を出づらくします。
また塗り薬として、塩化アルミニウムを含んだ液を塗ると、汗と反応して水酸化アルミニウムという物質を作り、それが皮膚の上にあるケラチンと反応して角栓を作ることで汗腺を防ぐ事ができます。
②薬局の薬と病院で処方される薬どちらがいいの?
ずっと続けていく薬ですので、自己判断ではなく、病院を受診して当該の薬の有効成分や副作用の有無を注意深く見ていく必要があります。特に、プロバンサインは日本で唯一多汗症の薬として認可が下りている薬ですので、保険を利用して病院で処方してもらった方が良いでしょう。また、副作用や既往症によっては利用できないケースもありますので、医師と相談の上利用した方が無難です。
また、飲み薬としては漢方薬もあります。汗が出る場所と汗の出方、そして体質によって使う薬が分かれ、自律神経の働きに作用を及ぼします。体の火照りや緊張を抑える柴胡桂枝乾姜湯、血圧が高く暑がりの方向けの黄連解毒湯、神経性の発汗を抑える柴胡加竜骨牡蛎湯など保険が効く場合もありますので医師の診断の元、処方してもらって下さい。
塗り薬の場合は、塩化アルミニウムの濃度をよく見る必要があります。通常ドラッグストアで売っているような制汗スプレーにはたいてい塩化アルミニウムが含まれていますが、濃度が5%程度と薄すぎるため確実な効果は期待できません。確実な効果を望むなら20%以上の濃度が必要となってきますが、敏感肌の方の場合は肌荒れを起こすケースもあります。こちらについても、医師と相談して処方してもらった方が確実でしょう。
③多汗症のご相談なら大西皮フ科形成外科まで
確実といえる治療法が無く、市販されている医薬品も限られている多汗症のケアは、基本的には病院に行って医師と相談しながら行うことをお勧めします。大西皮フ科では剪除法やミラドライなど汗腺そのものを無くしてしまう療法も行なっております。
また、暑い時期だけ汗を抑えたいのであれば、半年ほどの効果があるボトックス注射などもお勧めです。腋の神経をボツリヌス菌から抽出されるたんぱく質によって麻痺させることで、汗を出す機能を抑制します。
手足の多汗症で、靴の臭いが気になる、人と手を繋げない、オフィスで紙を持つと濡らしてしまうなどのお悩みをお持ちの方には、イオントフォレーシス療法などもおすすめです。患部を水に浸し、そこに微弱電流を流して水素イオンで汗腺にフタをします。効果は2~3週間程度ですが、安価な点が魅力です。
また、当院ではお子様の治療実績も多くあります。第二次性徴期を迎えたお子様のワキガや多汗症などは、ご両親からの遺伝の影響が大きいのですが、お子様の場合、使える療法や薬も限られます。ご両親のいずれかがそのような症状にお悩みの場合は、お早めにご相談ください。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。