多汗症に漢方って効くの?漢方の効能と多汗症での用途について。
2018/11/6
誰かと握手をする際に手の汗が気になったり、人前で話す際に「汗をかいたらどうしよう」と気になったり、多汗症が日常生活に及ぼす影響は大きいものです。集団生活そのものを避けて、精神的に不安定になってしまう可能性もあるため、早期での治療が強く勧められています。
多汗症の治療の一環として漢方薬を服用するケースがありますが、漢方薬を服用することでどういった効果が期待できるのでしょうか?今回は「多汗症と漢方薬」というテーマについて、解説していきたいと思います。
漢方薬の特徴と効能について。
まず、そもそも漢方薬とはどういった薬なのでしょうか?
漢方薬とは、化学合成物ではなく、「自然にあるものを組み合わせたオーガニックな薬」と考えると、分かりやすいでしょう。
漢方薬の原料になるものは多岐にわたり、植物などをもとに作られることが多いです。非常に長い歴史を持ち、中国で誕生したのち、日本でも日本人に合わせた漢方薬の製造が行われてきました。
今日の医療でも、さまざまな疾病を改善するために保険適用の漢方薬は多く処方されています。漢方薬は、西洋の薬と異なり、「血圧を下げる」などの特定の目的で服用するというよりは、「身体の気を高める」、つまり、身体本来が持つ力を向上させる目的で使われることが多いです。
そのため、多汗症の治療においても、身体の調子を整えるため、漢方薬が処方されるケースがあります。
多汗症治療での漢方の用途についてご説明します。
多汗症の原因と考えられている「エクリン腺」は、精神的な影響で活発化することが分かっており、脇のあたりは特に発汗しやすいといわれています。
多汗症を改善するために、推奨されている「ミラドライ」という機器での治療は、身体への安全性を考慮した電磁波(マイクロウェーブ)を使用し、多汗症の原因となる汗腺を直接破壊します。
手術で脇を切開し、汗腺を1つずつ取り除く方法もありますが、これはいわば最終手段です。ミラドライを使用すれば、身体への負担を軽減しつつ、多汗症の治療を進めることができます。
こうした治療に合わせ、体質改善のために漢方を服用します。体内に水分が溜まりがちの人には、身体の表面部分に水が溜まりにくくする効果がある漢方薬などを用います。また、精神的な緊張が強い人には、リラックス効果があると考えられている漢方薬を処方するケースもあります。
多汗症には漢方以外にも様々な治療方法があります。
多汗症に漢方薬を用いることはありますが、補助的に使用するケースが多いということがお分かりいただけたかと思います。全身性多汗症の人には、体質改善のために漢方の服用が勧められることもあるため、医師と相談しつつ、漢方を取り入れてみるのも良いでしょう。また、根本的なワキガ治療には、ミラドライのほか、下記のような治療方法があります。
剪除法(手術)
ミラドライでの治療で、万が一満足いく結果が得られなかった場合は、剪除法(せんじょほう)が提案される場合があります。術後10日間ほどは腕が動かせなくなるなど、考慮すべき点はありますが、原因となる汗腺を手作業で取り除く分、効果が期待できます。
ボトックス
そのほか、半年ほどの持続効果ではありますが、「ボトックス」という方法もあります。ボツリヌス菌を汗が気になる部位に注入し、発汗を抑えるという治療法です。(ボツリヌス菌はシワの改善などにも用いられています。)
イオントフォレーシス
手足の多汗症で悩んでいる方であれば、汗腺の開きを抑える「イオントフォレーシス」があります。比較的低価格で保険適用なので、まず、「多汗症の治療を試してみたい」という方にはおすすめです。
気になる多汗症はクリニックで一人一人に合った治療法を。
このように漢方薬の服用と、汗腺の働きを抑える、または汗腺を除去する治療を組み合わせることで、早期での多汗症の改善が見込めます。まずは医師に相談をして、予算や体質に合わせた治療方法を見つけましょう。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。