生理前~生理中にワキガの匂い?
2023/11/8
生理前から体臭が強くなる気がするけれど、これってワキガ?と不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。女性は生理前になると、どうしても体臭が強まる傾向にあります。それは体温が普段より高くなって皮脂がたくさん分泌することや、ホルモンバランスが変わるせいで、いつもより嗅覚が敏感になっていることも関係しています。
また生理中にはワキガの臭いも強くなるといわれます。それは、性ホルモンがワキガの汗を分泌するアポクリン汗腺を活性化させるためです。しかし、なぜ生理で体臭が発生してしまうのでしょうか? 今回はその原因を解説し生理中のケアも紹介していきます。
【目次】
生理前に「体臭が酸っぱい」これってワキガ?
生理前や生理中は、女性ホルモンである「プロゲステロン」の分泌が増えて、それがワキガの原因であるアポクリン腺も活発化させます。
また体温が高くなって汗や皮脂が増えるようになり、それらが肌表面の細菌と結びついて、酸っぱい臭い物質を発生するのです。
つんと鼻を突く酸っぱい臭いは、水分以外のミネラルやタンパク質などが含まれたベタベタ汗によって起こります。そもそも人間の汗の99%は無臭の汗。
ところがミネラル成分の多いベタベタ汗は、なかなか乾かず、皮膚の常在菌がアカなどをエサに繁殖します。その結果、常在菌が発する酸っぱい臭いとなって出てしまうのです。
その臭いのせいでワキガかもしれないと悩んでいる方もいらっしゃいますが、もし生理前だけ脇の臭いが強く出るようなら、ワキガではなく女性ホルモンの「プロゲステロン」によるものといえるでしょう。
細菌は発汗量が増えるほど繁殖しやすく、密閉されて通気性の悪い脇は、特に菌の温床になりやすいのです。
生理前~生理中にワキガの匂いがする原因
生理前や生理中に体臭が強くなるのは、「プロゲステロン」と呼ばれる女性ホルモンの働きが活発になっていることが原因です。
女性ホルモンは生理周期によって分泌のバランスが大きく変わり、それによって様々な変化をもたらしています。体臭の変化もその1つ。
プロゲステロンは「黄体ホルモン」とも呼ばれ、排卵直後から卵巣で作られ、生理中はアポクリン汗腺が活性化させるため臭いが強くなります。
妊娠環境を整えるために体温を上げる働きをして、膣内をおりもので満たす作用を持つなど大切なホルモンなのですが、体温が上がることで汗や皮脂量も増えることによって、体臭も発するようになってしまうのです。
しかし、妊娠が起こらなかった場合は、臭いの原因となる粘度の濃いおりものが出ます。また、黄体ホルモンには臭いのもととなる雑菌が増えやすいのも原因となります。
雑菌の繁殖を放置していると臭いはより強くなり、皮脂が酸化し洗ってもなかなか臭いが取れなくなることもあるのです。
清潔に保ち、臭いを抑えるケアを
排卵してから2週間前後の生理前〜生理中には、このプロゲステロンの影響が大きいため、デリケートゾーンは意識的に清潔を保ち体臭ケアをしていきましょう。
生理前のおりものが気になる方は、おりものシートを使いこまめに交換することで、下着におりものが付着したままになるのを防げます。
また、入浴した際にデリケートゾーン専用の石鹸で優しく洗うのも臭いケアにはおすすめです。清潔に保つことは大切ですが、ゴシゴシしたり、洗い過ぎたりするのは逆にトラブルになるので気をつけましょう。
ワキガかもと不安な方は病院で診断を
こうした生理による臭いのため、「もしかしてワキガ?」と思い悩む女性も少なくありません。その際はまずご自身で、耳垢がねっとり湿っているかどうか、汗ジミが黄ばんでいるか、また脇毛に白い粉がついていないかなどワキガ特有の症状があるかも確認してみて下さい。
ワキガの可能性が高い方の特徴
耳垢の湿り気はアポクリン腺の量で決まります。具体的には耳垢が湿っている方の80%がワキガだといわれています。
また汗ジミが黄ばんでいるかもチェックしてみます。アポクリン腺から分泌される汗にはタンパク質や鉄分、リポフスチンなどの色素成分が含まれています。
リポフスチンが多いほど汗ジミは濃くなりますので、下着に黄色か黄茶色の汗ジミがはっきり残っているか確認してみて下さい。
また脇毛に白い粉のようなものが付いている方も、ワキガである可能性が高いといえるでしょう。この白い粉は、アポクリン腺より分泌された汗の成分が結晶化したもの。
汗の水分が蒸発して乾いた後、分泌物だけが結晶化して残り白い粉となって毛に付着するというものです。
これらに加えて、両親もしくはどちらかがワキガ、脇毛の量が多い、汗の分泌量が多いといった方もワキガの可能性が高まります。
こういった特徴のある方は、ワキガ体質であると判断されることが多いため要注意です。
ご自分ではなかなか気づきにくいし、周りに相談もしづらいと思われますので、まずはセルフチェックで確認してみましょう。その結果、もしかしてワキガかも?と思ったら、一度、専門の病院で診察されることをおすすめします。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。