ワキガが急に治った?なぜ?
2024/07/5
ツンとした強い臭いがするワキガ(腋臭症)。発症の原因は、両親からの遺伝による影響が大きく、不規則な生活が続いていることによっても強まることがあります。
ワキガに突然なる方はいないといえますが、その逆で、ある時から臭いが気にならなくなり、急に治ったと感じる方はいらっしゃるといいます。
しかしながら、ワキガは「急になる」ことも、「急に治る」ことも基本的にはありません。
では、なぜこのように治ったと感じるケースがあるのかを解説していきます。
【目次】
急にワキガが治ることはあるのか?
ワキガの臭いが消えたように感じるのですが、急に治ることはありますか?というご質問をされる方もいらっしゃいます。
残念ながら、ワキガが急に治ることはありません。発症する原因は、その方がもともと持っているアポクリン汗腺の数や遺伝によるため、ご自身のケアだけで完全に治すことは難しいのです。
しかし、食生活の見直しやストレスの軽減、適切なスキンケアなど、生活習慣の改善や体調が良くなることで症状が軽減することもあるため、治ったと感じるケースもあるようです。
重度のワキガ臭が、軽度になることはある?
強いワキガ臭の場合は、誰かとすれ違った際に相手の方に感じ取られるレベルです。またご自身がいた部屋を去った後も、その空間に臭いが残ってしまいます。
さらに重度になると、その方が部屋に入るだけで誰もが気づいてしまうほどの臭いを発してしまうといわれます。
上着を着た状態で、ご自身で臭いをはっきり感じるのであれば重度のワキガといえるでしょう。
こういったワキガの原因となる汗腺のアポクリン腺は、生まれた時からその数が決まっており、後天的に増えたり減ったりすることはありません。
ですが、臭いは汗に含まれる成分を常在菌が分解し繁殖する際に起こるため、脇の下を清潔に保つよう心がけ、脂っこい食事を避ける、ストレスをためないなど自分自身でできる範囲のケアをすることでも軽減できます。
女性の場合は、妊娠や出産、閉経によって女性ホルモンの分泌量が変化し、臭いが和らぐことはあります。
基本的には、市販品などで対策をしても抑えることができないため、早急な治療が必要です。医療機関を訪れ、原因となるアポクリン汗腺の除去や破壊をすることで症状を改善することができます。
セルフケアでワキガ臭を予防できないの?
ワキガを根本的に治すことはできませんが、セルフケアで臭いを抑えることはできます。
近づかなければ、ほとんど気づかれない程度の状態で、自覚している方も少ないレベルの軽度のワキガであれば、以下の方法でワキガ症状を自分で抑えることも多少は可能です。
【こまめにわきを拭く】
汗は長く放っておくと雑菌が繁殖しやすくなり臭いの原因になるため、汗をかいたらこまめに拭くことで嫌な臭いが生じるのも防げます。
その際に注意したいのは、乾いたタオルでゴシゴシ拭いてしまうこと。汗だけを拭き取るように柔らかいタオルで軽く押さえましょう。
また汗の臭いは水溶性なので、湿ったタオルでぬぐえば臭いも効果的に取ることができます。植物性の消臭成分が配合されたウェットシートタイプのものを使用することも良いでしょう。
【脇毛の処理をする】
ワキガの臭いは、アポクリン汗腺からの汗がもとになり、その臭いが強まるのは、出た汗が処理していない脇毛に溜まって、それが蒸発することも原因になります。
そういったことを防ぐための方法として、脇毛の処理があります。脇毛を無くすことで蒸れにくくし、臭いが広まるのを抑えることができます。
【デオドラントアイテム】
制汗剤や殺菌剤、サプリメントの「デオビュー」や「アプローラ」などを使用することも予防の効果が期待できます。
市販の制汗剤には2つのタイプがあり、その一つに殺菌によって臭いを抑えるものがあります。冷たい刺激と共に細菌の活動を抑えたり、殺菌したりして臭いの発生を抑制するものです。
ワキガ臭は、基本的に細菌が汗に含まれるタンパク質や脂質を分解することで生じますので、アルコールなどが含まれる制汗剤で除菌を行い軽減することができます。
もう一つのタイプが、汗そのものを抑えるものです。
医療機関で取り扱いされているパースピレックスなどのように汗の分泌を抑える制汗剤は、一度塗れば3~5日間効果が持続し、日中の塗り直しもなくワキガ臭を抑えるために有効です。
パースピレックスは塩化アルミニウムが主成分ですが、この成分が汗腺の内部で水分と反応して「栓」をする状態となり、発汗そのものをコントロールします。
そのほかに、肉食を避け和食多めの低脂肪の食事を心掛け、禁煙、十分な睡眠とストレス解消などで自律神経を整えることもワキガ臭を軽減することが可能です。以上のような方法をまず試してみましょう。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。