多汗症に効く内服薬プロバンサインとは?
2024/07/31
人と話している最中に、突然汗が吹き出してドキドキ…、緊張すると手汗がひどくなる。生活する上で様々な困りごとが生じる多汗症は、「汗っかき」の一言で片付けられないほど辛いものです。
突然の発汗はストレスや緊張からも起こり、例えば人と会う時やイベント、会議などがある日に汗を抑えられれば・・・と思う方も多いでしょう。
多汗症治療は、一般に外用薬や内服薬、注射などで行われ、外用薬は根気よく継続することで、注射は1週間ほどたってから効果が感じられます。
その点、内服薬のプロバンサインは飲んで一時間ほどで効き目が生じ、4、5時間は持続するというもの。今回は、そんな汗をかきたくない状況の時に服用して汗を抑えてくれるプロバンサインをご紹介します。
【目次】
多汗症治療に効くプロバンサインとは?
多汗症の治療においてよく使われる内服薬がプロバンサインです。服用した1時間後から発汗が弱まって約4〜5時間ほどその状態を保ちます。
一時的に汗が抑えられるので、朝、出かける前に飲んでいる方も多いです。
プロバンサインは、多汗症の原因となるエクリン汗腺に働きかけ、副交感神経から出る伝達物質で汗を活発化させるアセチルコリンを阻害し、発汗を抑えます。
効き方には個人差ありますが、保険診療で処方できということもあってお試しになる患者様は多くいらっしゃいます。
1日3回まで飲めますが、仕事中や打ち合わせ、食事会での発汗に困っている方は、汗をかきたくない場面の前に、朝と昼だけ飲むといった使い方も可能です。
プロバンサインの効果
プロバンサインは神経系に作用する薬で、汗腺から発汗を誘発するアセチルコリンという物質の動きを抑制して、発汗を抑制します。
即効性が特長で、服用後1時間ほどで効果が現れ、約5時間効果が継続します。内服薬ですので局所だけに効くのでなく、一回飲めば全身の汗を抑えることも可能です。
服用したけれどあまり効かなかったという方は、空腹時に飲むようにすると効きやすくなるといったことがあります。
内服薬だけで多汗症を完全にコントロールすることは難しいといえますが、他の治療と併用することで症状を緩和させていきます。
プロバンサインの服用方法
具体的な服用方法は、成人の場合1回1錠。主成分として15mgを1日3〜4回服用します。年齢や症状によって減らしたり増やしたりして用いることもありますが、必ず医師の指示に従って服用するようにしましょう。
多汗症に関して、プロバンサインは全身のどの部位の多汗症にも服用できますが、得られる効果には患者様によって違いがあることを考慮して、他の治療とセットで処方されることも多いです。
また15歳未満の方や妊娠中の患者様に対しては、安全性が確認されていないとして、使用されることは多くはありません。授乳されている方には、治療によるメリットが大きいと判断された際は投与することもあります。
服用の継続期間について決まりはなく、症状が良くなった時点か数ヶ月しても効果が出てこない場合には中止することがあります。
プロバンサインの注意
副作用として目のかすみや口の渇き、頭痛や眠気、便秘、排尿障害、発疹などを感じることがあります。内服治療中は自動車やバイクの運転や、機械操作などは危険を伴いますので、避けるようご注意下さい。
また閉塞隅角緑内障や排尿障害のある前立腺肥大、重い心疾患などをお持ちの患者様も、プロバンサインの投与で副作用が起きる可能性があります。
持病のない方が使用するには特に大きな副作用が起きる心配はほとんどありません。
プロパンサインを飲みすぎると太る?
プロバンサインを飲むと太るといったことがネットなどで見受けられますが、そういった副作用は一切ありません。
体重増加に関する作用はありませんが、むしろ消化器系への影響として、口が渇くということがあり、そのため食べ物が食べにくい、食欲そのものが減るといったことはあるようです。痩せることはあっても太ることはないので、安心して服用して頂けます。
ただし、薬が効いている間は食欲がなかったのに、服用を止めたとたん副作用もなくなり暴飲暴食してしまう場合などにはやや注意が必要といえるでしょう。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。