脇の多汗症はボトックスで改善できる?効果・保険・持続を医師が解説【医師監修】
2026/08/28

脇汗が多く、洋服のシミやにおいが気になる。そんな脇の多汗症にボトックス注射が有効だと知り、効果や費用を調べている方は多くいらっしゃいます。
本記事では、大西皮フ科形成外科医院の大西院長が、脇のボトックスの効果・持続期間・保険適用の条件、そしてミラドライとの違いを解説します。
国立香川医科大学医学部を卒業。京都大学附属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科ほかを経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。形成外科・美容外科を専門とし、ワキガ・多汗症治療に対応。
【目次】
- 脇の多汗症にボトックスは効果がありますか?
- そもそも脇の多汗症(腋窩多汗症)とは?
- ボトックス注射の仕組みと効果は?
- 効果はいつから?どのくらい持続しますか?
- 脇のボトックスは保険適用になりますか?
- 副作用や受けられない人はいますか?
- ボトックスとミラドライはどちらがよいですか?
- よくある質問(FAQ)
脇の多汗症にボトックスは効果がありますか?

脇の多汗症にボトックス注射は効果があります。汗を出す指令をブロックすることで発汗を抑え、数日で効果を実感できます。ただし効果は永久ではなく、効果を維持するには必要に応じて繰り返し治療を行います。
ボトックスは、汗腺に汗を出すよう伝える神経の働きを一時的に抑える治療です。脇に注射することで、その部分の汗の量を大きく減らせます。メスを使わず、短時間で受けられるのが特徴です。
なお、当院での脇のボトックス治療は保険適用外(自由診療)です。重度の腋窩多汗症では医療機関によって保険適用となる場合もありますが、当院は自由診療でおこなっています。保険適用の一般的な仕組みと当院の扱いは、後ほど詳しく説明します。
結論:脇のボトックスは発汗を抑える効果があり、数日で実感できます。効果は4〜9カ月ほどです。
そもそも脇の多汗症(腋窩多汗症)とは?

原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)は、腋窩(脇の下)から過剰な汗をかく症状をいいます。
汗の分泌が促される病気があるわけでないにもかかわらず、脇に大量の汗をかく状態で、実際には多くの方に見られる症状と言ってよいでしょう。
原発性腋窩多汗症は、明らかな原因のない過剰な脇汗が6カ月以上続き、さらに次の6項目のうち2項目以上に当てはまる場合に診断されます。
●両脇とも同じくらい多くの汗をかく
●脇汗が多いために生活に支障が生じている
●週に1回以上、脇に過剰な汗をかくことがある
●このような症状は25歳以前からある
●同じような症状の家族や親戚がいる
●睡眠中は脇汗がひどくない
原発性腋窩多汗症の明確な原因は分かっていませんが、遺伝的な要因や、ストレス・緊張などによる交感神経の働きが関係すると考えられています。
症状が重い場合は、衣服の汗ジミや人前での不安など、日常生活に支障をきたすこともあります。
ボトックス注射の仕組みと効果は?

ボトックスは、汗腺に「汗を出せ」と伝える神経伝達物質(アセチルコリン)の放出を抑えることで、発汗を減らす治療です。注射した範囲の汗の量が抑えられます。
脇の皮膚の浅い層に、細い針で少量ずつ複数箇所に注射します。汗を出す指令が届かなくなることで、その部分からの発汗が抑えられる仕組みです。発汗量が減ることで、脇のにおいが軽減する場合もあります。
注意したいのは、ボトックスは汗腺そのものを取り除くわけではない点です。神経の働きを一時的に抑えているだけなので、時間が経つと効果が薄れ、再び汗が出るようになります。汗腺を破壊して半永久的に汗を減らす治療とは、仕組みが根本的に異なります。
効果はいつから?どのくらい持続しますか?

ボトックスの効果は、注射後2〜3日で現れ始め、1〜2週間で安定します。持続期間は個人差がありますが、4〜9カ月程度が一般的です。効果が薄れてきた場合は、必要に応じて再治療を検討します。
| 項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 効果が出始める | 注射後2〜3日 | 1〜2週間で安定する |
| 持続期間 | 4〜9カ月程度 | 汗の量や体質により個人差がある |
| 繰り返しの目安 | 効果が薄れた場合に再治療を検討 | 汗が増える夏前に受ける方が多い |
※ 効果の出方や持続期間には個人差があります。上記は一般的な目安です。
汗が多くなる夏を快適に過ごすため、初夏の前に受ける方が多い治療です。効果は永久ではないため、効果を維持したい場合は、必要に応じて繰り返し治療を検討します。繰り返しの負担を避けたい方には、後述するミラドライという選択肢があります。
脇のボトックスは保険適用になりますか?

当院の脇のボトックス治療は、保険適用外(自由診療)です。重度の原発性腋窩多汗症では対応する医療機関で保険適用となる場合もありますが、当院では自由診療でおこなっています。
一般的に、ボトックス治療が保険適用の対象となるのは、重度の原発性腋窩多汗症です。手のひら・足の裏・顔・頭皮の多汗症に対するボトックス治療は、保険適用外(自由診療)です。保険適用の一般的な扱いは、以下のとおりです。
| 区分 | 内容 | 保険の扱い |
|---|---|---|
| 重度の原発性腋窩多汗症 (脇) |
日常生活に支障がある重度の脇汗 | 適用になる場合がある (当院では保険診療は行っておりません) |
| 軽度の脇汗・美容目的 | 日常生活に大きな支障がない | 適用外(自由診療) |
| 手・足・顔・頭皮の多汗症 | 脇以外の部位 | 適用外(自由診療) |
副作用や受けられない人はいますか?

ボトックス注射では、注射部位の内出血や一時的な痛み、まれに脱力感などが起こることがあります。
妊娠中・授乳中の方などは受けられません。
●注射部位の内出血・赤み・軽い痛み(数日で落ち着くことが多い)
●まれに、注射部位周辺の一時的な脱力感
●ごくまれにアレルギー反応
●汗を抑えた分、他の部位から汗が出る『代償性発汗』が起こることがある
次のような方は、施術を受けられない、または慎重な判断が必要です。カウンセリングで必ず申告してください。
●妊娠中・授乳中、または妊娠の可能性がある方
●神経筋接合部の病気(重症筋無力症など)のある方
●ボツリヌス製剤にアレルギーのある方
●注射部位に感染や炎症がある方
ボトックスとミラドライはどちらがよいですか?

繰り返しの手間なく、汗とにおいを長期的に抑えたい方にはミラドライが向いています。まず一時的な発汗抑制を試したい方にはボトックスが選択肢になります。目的によって選び方が変わります。
ボトックスは一時的に汗を抑える治療、ミラドライはマイクロ波で汗腺そのものにアプローチし、半永久的に汗とにおいを減らす治療です。それぞれの特徴を整理しました。
| 比較項目 | ボトックス注射 | ミラドライ |
|---|---|---|
| 仕組み | 汗を出す神経の働きを一時的に抑える | マイクロ波で汗腺にアプローチする |
| 効果の持続 | 4〜9カ月ほど(必要に応じて再治療) | 半永久的に汗・においを減らせる |
| におい対策 | 汗が減ることで軽減 | 汗腺に働きかけ、においも対象にできる |
| 向いている方 | 一時的な発汗抑制を試したい | 繰り返しの手間なく長期的に改善したい |
汗が多くなる季節だけ抑えたい、まず効果を試したいという方はボトックスから始めるのも一つの方法です。一方、毎年繰り返す負担をなくしたい、においまでしっかり対策したいという方には、汗腺そのものに働きかけるミラドライが適しています。どちらが向いているかは、汗やにおいの状態、ご希望をふまえて診察でご提案します。
よくある質問(FAQ)

Q. ボトックス注射は痛いですか?
A. 細い針で複数箇所に注射するため、チクッとした痛みがあります。痛みが不安な方には、冷却や麻酔クリームで和らげる方法があります。カウンセリングでご相談ください。
Q. 汗を止めると体に悪くないですか?
A. 脇からの発汗が抑えられても、体全体の汗の量から見ればごく一部です。体温調節に大きな影響はないとされています。ただし、他の部位から汗が出る代償性発汗が起こることがあります。
Q. 効果が切れたらどうなりますか?
A. 神経の働きが戻り、再び汗が出るようになります。効果を維持したい場合は、効果が薄れてきた時期に必要に応じて再治療を検討します。
Q. ワキガ(においの強い状態)にも効果はありますか?
A. 汗が減ることでにおいの軽減は期待できますが、ボトックスはにおいの原因となるアポクリン汗腺を取り除く治療ではありません。においをしっかり対策したい場合は、ミラドライなど別の治療が向いています。
Q. 脇のボトックスは保険で受けられますか?
A. 当院の脇のボトックス治療は保険適用外(自由診療)です。重度の腋窩多汗症では保険適用となる医療機関もありますが、当院では自由診療でおこなっています。保険診療をご希望の場合は、保険に対応した医療機関へのご相談をおすすめします。費用は診察時にご案内します。
Q. 何歳から受けられますか?
A. 保険適用の対象年齢や、施術の可否は状態によって異なります。まずは診察でご相談ください。
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記事監修

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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。





















