ワキガ治療って何するの?保険適用される?
2017/09/4
現在は、食の欧米化に伴いワキガの人が増え、かつ低年齢化してきました。社会人にとっては「スメハラ」と嫌われ、学校ではイジメの原因となり、かといって悩みを相談すると「たかだか体臭」と言われてしまう面倒なワキガ。一刻も早く治療したいものですね。
①ワキガの原因は?
腋の下には二種類の汗腺があります。一つは普通のサラサラした汗を出すエクリン腺です。このエクリン腺は全身に分布しており、ここからでる汗は水とミネラル分が主成分です。もう一つはアポクリン腺で、腋やデリケートゾーン、耳などに分布しています。ここから出る汗にはミネラル分以外にも脂質や糖質、アンモニアやたんぱく質が含まれており、これらの成分が皮膚にある常在菌によって分解されると、あの独特の異臭が発生します。
アポクリン腺は誰にでもありますが、遺伝により数が多かったり働きが活発だったりすると、ワキガの原因となる汗が多くなってしまいます。両親がワキガなら80%の確率で、どちらか一方でも50%の確率でワキガが発生します。
また、脂質や動物性たんぱく質を多く含む食事も、当然汗の中に含まれる脂質や糖質を増やしてしまうため、ワキガがきつくなる原因となります。さらにストレスは汗を多くかく原因になりますし、肥満気味の場合は体内の熱を放出しづらくなるため必然的に汗が増え、いずれもワキガを悪化させます。加えて、腋毛を処理しない場合も腋毛の中に汗をため込んでしまうため、当然臭いはきつくなる傾向がありますので、ご注意ください。
②ワキガの治療法
ワキガの治療法は、主にその重症度によって変わってきます。一番一般的なのはデオドラント剤ですが、病院で薬をもらう場合は、塩化アルミニウム液の外用薬や、飲み薬として臭化プロバンテリンを服用したりします。ストレスが原因の時は、精神安定剤などでストレスによる発汗を抑えることもあります。
中程度のワキガの場合は、ボトックス注射でボツリヌス菌の働きによりエクリン腺の活動を抑制します。これにより、アポクリン腺から出る汗の臭いが蒸発して広がることを防ぎます。また、レーザーを使って脱毛と同時にアポクリン腺を焼き切る方法もあります。
重度の場合は、主に外科手術により汗腺を除去することになります。腋の下を切開して皮膚を裏返し、アポクリン腺を除去していく剪除法、脂肪吸引のイメージで腋の下に小さい穴をあけ、汗腺を吸収していく皮下組織吸引法、同様の方法で汗腺を超音波で破壊する超音波吸引治療法などがあります。また、近年では「ミラドライ」という治療法が熱い注目を浴びています。こちらは、マイクロ波の力を用いて手術同様汗腺を破壊する施術ですが、切ったり穴を開けたりすること無いのが一番の魅力です。電磁波の力を用います。電磁波が水分を含む組織をより早く熱くする力を利用して、汗腺だけを選択して焼き切る治療法です。
③保険適用のワキガ治療を行う大西皮フ科形成外科
人にも迷惑をかけ、何より自分自身が嫌な思いをするワキガですが、病気として保険が適用されることはあるのでしょうか。これは、医師の判断にゆだねられます。医師がワキガと認めれば保険適用対象となります。ここで判断が難しいのは患者様の中には「自己臭症」や「体臭恐怖症」などのメンタル疾患によるものもあり得るからです。なお、保険適用になるためには臭いの程度などは特に決まってはいません。いずれにせよ医師の嗅覚に頼った判断になるため、保険適用をしたければ、必ず保険適用をうたっているクリニックを選ぶようにしましょう。
病院によっては臭いが確認できる状態で来るよう指示されるので、シャワーを控えたり、腋の下が黄ばんだ下着などを持っていったりすると効果的でしょう。なお、保険が適用されるのは、あくまで外科手術が対象となります。ボトックス注射やミラドライなどは対象となりませんのでご注意ください。
大西皮フ科形成外科では、アポクリン腺を一つひとつ除去する最も確実な剪除法の手術を、保険を用いて受けることが可能です。保険無しでは30~40万する手術が、保険適用で3万円台の自己負担で受けることができます。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。