手の汗が多いのは、手掌多汗症 かも!?
2017/09/12
汗に関する悩みを抱く方は多いです。身体にとって汗は必要なもの。しかし自分の意思でコントロールできないことで、困った経験をすることもあるでしょう。普通の人よりも多く、異常に発汗してしまう病気を「多汗症」と言いますが、その中の一つが「手掌多汗症」です。「もしかして……」と思うあなたに向けて、手掌多汗症の詳細について教えます。
①そもそも手掌多汗症とは?
そもそも手掌多汗症とは、どのような病気なのでしょうか。多汗症は、脇や足、手や頭などに非常に多くの汗をかいてしまう病気です。とはいえ、汗をかく量には個人差があります。周囲よりもたくさんの汗をかいていたところで、「汗っかきな人なのだな」という印象で終わるケースがほとんどでしょう。
手掌多汗症の特徴は、「手のひらに通常よりも多くの汗をかいてしまう」というものです。他の部位の汗とは違い、手のひらは日常生活の中で重要な役割を果たしています。手掌多汗症の場合には、「単なる汗っかき」という認識で終わる問題ではありません。手のひらから絶えず雫のような汗が流れだすような状況では、人と握手をするのも嫌になってしまうでしょう。また手で何かをつかもうとしても、汗のせいで滑りやすくなるという影響も考えられます。ノートや書類にメモをしようとしたときにも、「濡れてしまって仕事にならない」という可能性もあるのです。
発症する年齢や性別に特徴はなく、幼い時期から手掌多汗症に悩まされるケースも少なくありません。「手汗がひどい」という相談を受けても、ほとんどの人は真剣に捉えないでしょう。しかし、手掌多汗症を放置しておくと、人とのコミュニケーションに臆病になったり、勉強や仕事に集中できなくなったり……精神的なトラブルにつながる可能性もあります。
②手掌多汗症の原因は?
ここで気になるのは、手掌多汗症になる原因についてです。原因がわかれば、事前に対策をとることも積極的に治療をスタートさせることもできるでしょう。また、自分自身が手掌多汗症で悩むリスクについても、頭に入れておけるはずです。
しかし残念ながら、手掌多汗症の原因はいまだはっきりとわかっていません。なんらかの理由で交感神経の働きが活発になっていることで、手のひらの汗が増えていると考えられています。
交感神経は、自律神経の一つで、人間が活発に行動しているときや緊張しているときに優位に働きます。人間が活発に動けば、自然と体温は上がります。かく汗の量もアップするでしょう。また精神的に緊張していると、手に汗をかく方は多いはずです。通常なら「活発に動いているときや緊張しているとき」だけに、こうした作用が生まれるもの。しかし交感神経の働きが活発になりすぎている方の場合は、常に自律神経が、汗を出すよう身体に働きかけることになります。この汗が手のひらに集中することで、手掌多汗症の原因になると言われているのです。
幼少期の頃に発症したケースでは、「遺伝の影響」を指摘する声もあります。またストレス過多など、心身の状態が影響するケースもあるでしょう。それ以外にも、女性の場合はホルモンバランスの変化が影響を与えているのでは、という指摘もあります。
③手掌多汗症を病院で治そう
考えられる原因はいくつかあっても、いまだはっきりと解明されていないのが、手掌多汗症の特徴でもあります。原因がわからないこともあり、悩みを訴えても周囲に理解されないこともあるかもしれません。
しかし放っておいて良いわけではありません。汗をかくことは悪いことではありませんが、悩みを抱える人の精神的負担は非常に大きなもの。生活に支障をきたすケースもあるでしょう。
手掌多汗症は立派な病気です。だからこそ、わきが治療と同じように病院で診察を受け、きちんと治すことをお勧めします。「もしも手に汗をかいてしまったら」という不安が強い患者さんの場合には、身体をリラックスさせる「精神安定剤」などが出されることもあります。
このほかには、汗が出ないようにするため、交感神経を遮断するための内視鏡手術を行うようなケースもあります。欧米における一般的な治療法は、「イオントフォレーシス」と呼ばれるもの。こちらの治療法を使えば、痛みもなく、低刺激で低価格の治療を受けることが可能です。
手掌多汗症の状態や体質、そして推察される原因は、患者さんそれぞれによって異なります。自身の汗の状態を不安に思うようなことがあれば、まず医師の診察を受けましょう。滋賀や京都でお悩みの方は、わきが治療や多汗症治療に定評がある当院にお任せください。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。