ワキ毛とワキガの関係
2023/12/1
ツンと強い臭いを放つ、悩ましいワキガの問題。人には言えないデリケートなお悩みですが、脇の下に毛があることで独特の臭いにつながることをご存じでしょうか?例えば、脱毛をして毛がなくなれば蒸れも防げ、臭いの原因となる常在菌の数も減らすことができます。
そのため、脱毛したらワキ汗やワキガが改善されたという事例も報告されています。しかしながらワキガの根本的な解決になることは難しいといえます。今回はそんなワキガと脱毛の関係についてご紹介します。
【目次】
ワキ脱毛するとワキガが治る? 臭いは減る?
脱毛がワキガの改善に役立つことがあるのはなぜなのでしょうか。それには以下のような理由があります。
■脇が清潔になり、菌の増殖が防げる
ワキガ改善に効果があると考えられる理由の一つに、脇を清潔に保ちやすくなるといった点が挙げられます。あの独特の臭いは、脇に存在するアポクリン腺から出る汗の成分をエサに常在菌が増殖することで発生します。もしアポクリン腺から汗が出ても、常在菌が繁殖しなければ臭いは強くなりにくいといえるのです。
その点、脱毛をしてワキ毛がないと通気性も良くなり蒸れにくく、清潔さも保てますから、常在菌が増えることも抑えられます。その結果、強い臭いも減ることになるわけです。
■アポクリン汗腺の働きが弱まる
施術による特徴も、ワキガ改善にある程度の効果を見込める理由といえます。ワキ毛が生えてくる毛穴と、嫌な臭いの元となる汗を出すアポクリン腺は、とても近い場所にあります。
医療脱毛のレーザーの出力は強いため、毛穴付近にあるアポクリン腺にもその熱が伝わり機能が弱まることがあります。そのために嫌な臭いを放つ原因となる汗の量が減ります。
■自己処理での刺激がなくなる
カミソリなどでワキ毛の自己処理を行うと、肌にダメージを与えてアポクリン腺が刺激されてしまい、さらに汗が出やすくなります。
アポクリン腺に余計な刺激がかかると、汗の分泌量も多くなりキツイ臭いを放ちやすくなります。いってみればワキ毛の自己処理をするたびに、その症状を引き寄せているようなもの。そこでワキ脱毛をすれば自己処理をする必要もなくなり、肌への刺激が軽減され、蒸れることもなくなります。常在菌が増えにくくなるとともに、臭いの原因となる汗の発生も抑えられるのです。
ワキ脱毛でワキガになることはある?
医療脱毛は、アポクリン汗腺に働きかけるものではありませんので、脱毛してワキガになることはないといえます。
脱毛が働きかけるのは、毛根です。レーザーを使った脱毛の場合は、毛根にあるメラニンを探り出ししながらレーザーを照射していきます。毛根がその熱でダメージを受け破壊されることによって、毛が生えることがなくなっていきます。けしてアポクリン汗腺に働きかけることはないので、脱毛の施術を受けてワキガになったり、汗や臭いが促進されてしまったりといったことは基本的にはないと思って良いでしょう。
ワキガ治療と脱毛どっちが先?
脱毛とワキガの両方の施術を受けることを検討している方は、先にワキガを治すことから始めることをおすすめします。その理由として、まずワキガ治療を行うことで脇毛が薄くなる可能性があることが挙げられます。
ワキガの治療で行われるミラドライでは、マイクロ波を出力して行いますが、汗腺と一緒に発毛の機能にダメージを与えることもできる場合があります。全てを破壊できるというわけではありませんが、ある程度のワキ毛の減少が期待でき、後で脱毛をした場合、回数が少なくてすむ可能性があります。
また、もう一つの理由は、脱毛は完全に毛がなくなるまで時間がかかってしまうという点があるからです。脱毛を完了するまでには、何回か通院してレーザー照射をすることが必要で、完全に脇脱毛をするのに1年ほどかかります。
ですから先にワキガの治療を行い、3ヶ月程期間を置いて脱毛していただければと思います。
どんなワキガ治療でも脱毛に効果がある?
確かに、これまでワキガを治す施術をしたら脱毛もできたという報告はあります。ただ誤解しないようにしたいのは、どんなワキガ治療機でも完全に脱毛できるといった保証はない、ということです。
ミラドライのワキガ治療は、マイクロ波を受けた汗腺が破壊され、汗の量や臭いが抑制される仕組みで行われます。この際に、汗線近くの毛根にも電磁波が届くため、発毛組織も破壊されて脇毛が薄くなる可能性があります。一度施術によって消滅した汗腺や発毛組織は再生しないため、脱毛施術を受けたような効果が現れるというものです。
しかしながら、脱毛効果が見られるのは全体の60%ほどで、全て毛が消えるということではありません。ミラドライの目的はあくまで汗腺への作用で、発毛機能ではないからで、施術直後に一時的に毛が減ったように感じても、また数か月後ぐらいから元に戻るケースもあることを知っておきましょう。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。