ベタベタの脇汗・・・これってわきが?
2023/12/29
ベタつく脇汗にお悩みの方の中には、「以前はサラサラだったのにどうして?」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
汗がベタベタしているからといって全てワキガかというとそうではなく、年齢を重ねたことや運動不足などによる「汗腺機能の低下」も関係しているといわれています。
ベタつかない、サラっとした汗をかくためには、汗腺の働きを活発にすることが大切になるほか、食生活の改善やストレス解消などが効果的だとされています。
そこで今回は、ベタベタ汗の原因について触れながら、サラサラとした「良い汗」をかくためのポイントや汗腺の機能を高める対処法をご紹介します。
【目次】
ベタつく汗の原因
脇の汗がベタベタするのは、加齢や運動不足などにより汗腺の働きが低下したことで起こると考えられます。
汗腺機能が弱まると汗に含まれるミネラルなどを血液中に戻せず、それらを含んだ汗となってしまうためです。このように水分以外の成分が含まれた汗は、蒸発しにくく、乾きにくい、濃度の高い汗になるのです。
またワキガの原因となる脇の汗腺の一つ、アポクリン汗腺から出る汗も脂質やタンパク質、アンモニアなどを含んだものでネバっとしてベタついています。
一方、もう一つの汗腺であるエクリン腺から出る汗は、ほとんど水分からできており、無色でサラっとしているのが特徴です。
また肉中心の食生活やストレス、ホルモンバランスの乱れなども脇汗のベタつきをひどくします。
こうした汗は強い臭いを伴うことが多いため、自分だけでなく周りの方にも不快感を抱かせることがあることにも注意が必要です。
ベタベタ汗の対策方法
ベタつく汗による不快感をできるだけ和らげるために、次のことを心掛けるようにしてみましょう。
・有酸素運動で汗腺の機能を活発にする
サラサラの良い汗をかくためには、日頃から汗腺を働かせて汗をつくる能力を高めておくことが大切です。
ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動をすることで、血液が体中に循環しやすくなって、発汗しやすくなってきます。
有酸素運動とは、ウォーキングやサイクリング、ジョギング、水泳などを長時間続けて行う運動のことです。
これまで運動習慣を持たなかった方も比較的取り組みやすいと思いますので、どれでも良いので最初は5~10分程度行うことから始めましょう。
また、通勤時や買い物で歩く距離を長くする、なるべく階段を使うなど、少しずつ運動を増やしてみることもおすすめです。
・クーラーの温度を下げ過ぎない
冷房を使う際の設定温度は、なるべく低くし過ぎないように心がけましょう。
冷やされた空気に長時間さらされていると皮膚温度が下がり、それに伴い汗腺機能も低下し、なかなか汗が出ない状態になってしまいます。
室温28℃を目安に、状況に応じてエアコンの温度を調整することが大切です。
職場などで変えられないという場合は、風が体に直接あたらないよう工夫したり、カーディガンやブランケットを用意したりして冷え防止対策をするようにしましょう。
・半身浴で汗腺を鍛える
汗腺機能をアップする方法としては、半身浴もおすすめです。
浴槽に座り、36℃ほどのぬるめのお湯をみぞおちの高さまで溜めて、半身浴を行います。10~15分間、体の深部から温めてじっくり汗をかくことで、汗腺をトレーニングしましょう。
半身浴をする際には、入浴前後と入浴中に水分補給をし、湯上がりは静かにクールダウンして、汗が引くまで待ってから着替えましょう。
・食生活を見直す
汗腺の働きを活発化するためには、水分補給をしっかり行うようにしましょう。
そして、血流を促し代謝を向上させるショウガや酢、また過剰な発汗を抑える女性ホルモンに似た働きを持つ「イソフラボン」を含んだ大豆製品を摂ることをおすすめします。
反対に、臭いを強くする肉類や乳製品、脂肪を多く含む食べ物、アルコール、にんにくなどはできるだけ控えるようにします。
食べ過ぎも熱が体内にこもって、発汗作用も落ちてしまうため要注意です。
ベタベタ汗の洗い方
体臭や体のベタつきが気になると、ついゴシゴシ洗ってしまいがちです。
ですが夏の紫外線による刺激や冷房による血行不良などで、秋口のお肌は特にデリケートになっています。
そんな皮膚を強く擦り洗うと、お肌に存在する表皮ブドウ球体が少なくなり、逆に常在菌の黄色ブドウ球菌と真菌は増えていきます。
すると分泌される汗の分解が活発になり、ワキガの臭いや体臭がさらに強くなってしまうのです。
またゴシゴシ洗いは摩擦から肌が乾燥しますから、それを防ごうと皮脂が逆に分泌されます。皮脂は常在菌の大好物ですので、どんどん分解して臭いを強めてしまいます。
洗う際には、せっけんなどをしっかり泡立てて、擦らず優しく洗うようにしましょう。
刺激が少ないコットンやシルクなどの天然素材のものを使い、さらさらとなでるようにして一方向に洗いましょう。
また耳の後ろや首の後ろ、脇の下、股、足裏など特に代謝が良く発汗しやすい場所は、丁寧に洗うことを心掛けてみて下さい。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。