加齢で脇が臭くなってきた・・・これってワキガ?
2024/01/15
脇の臭いが気になっていたけれど、周りからも指摘されてしまった…。そんな時、「これってワキガ?」と不安になった経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。
中には、加齢臭とワキガが一緒に生じてしまっているのではないのかと、重く考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、脇から臭いをするからといって、全部がワキガというわけではありません。年齢とともに体臭が感じやすくなることもあります。そこでワキガと加齢臭について、違いや対処法などを解説したいと思います。
【目次】
加齢臭とワキガの違い
はじめに間違えてはいけないのが、ワキガと加齢臭は全く別物ということです。
ワキガは、汗腺の一つであるアポクリン汗腺から出る汗が、皮膚の常在菌によって分解されることで独特のニオイを生じます。
加齢臭は、年齢を重ねると皮脂腺の中のパルミトオレイン酸が増え、さらに酸化への抵抗力も低下するため体内ではノネナールという物質が増加。それが常在菌によって分解されることによってニオイが発生します。
ワキガは、遺伝を含めた、もともとの体質によるアポクリン汗腺の発達が原因とされ、年齢によって生じるものではありません。
一方の加齢臭は、年齢とともに生じてくるものです。毛穴の中の皮脂腺から分泌される皮脂や脂肪酸が過酸化脂質と結合すると、ノネナールが発生しニオイの原因になるのです。年々ホルモンが低下することによっても増えてきます。
このようにワキガと加齢臭は異なるメカニズムによって発生するものですので、混同することなく正しい原因を知って対処するようにしましょう。
年を取ってからワキガになることはある?
ワキガはその方の体質が原因となるので、40代50代になってからいきなり生じるということは考えにくいといえます。
ワキガは、脇の奥にあるアポクリン腺から出る、タンパク質や脂質を含んだ汗が原因です。それを常在菌がエサにして繁殖することで独特の臭いが発生するのですが、このアポクリン腺の働きは、偏った食生活や運動不足、ストレスなどによって活発化してしまう性質があります。
年を取ってから臭いが気になったという場合は、生活の変化によって強まったとも考えられます。生活習慣によってワキガの臭いが強まってしまうことはあるのです。
それぞれの対策方法
【ワキガの場合】
残念ながらワキガをご自身のケアで治すということは難しいといえます。
ワキガ体質というのは遺伝的なものなので、アポクリン腺を完全に取り除いてしまうか、もしくは再生しないよう破壊する必要があります。
根本的な治療をするには、切開手術やミラドライといった医療機関での専門的な治療が必要となります。
ただし、次のようなセルフケアで臭いを抑えることはできます。
■汗をこまめに拭く、汗をかいたら着替える
■デオドラント製品を使う
■ニオイがきつくなる生活習慣を見直す
汗をこまめに拭き、着替えを携帯して汗をかいたら着替えるなどでも抑えられますし、細菌の繁殖を予防するために、脇毛の処理をするのもおすすめです。
また汗の分泌を抑えたり、菌の増加を防いでくれたりする制汗剤や消臭効果のあるデオドラント製品を使うのも効果的です。
軟膏やスプレー、ローション、パウダーなど様々タイプがありますので、使いやすいものを選んでみましょう。
また揚げ物や、脂の多い肉類などの動物性脂質の摂取を控えることも良いでしょう。
ワキガといっても程度は様々ですので、軽度の場合はこのような対処法を実践するだけでも臭いを抑えることもできます。
上記を試してもニオイが気になる場合は、皮膚科や形成外科を受診するとよいでしょう。
【加齢臭の場合】
女性の加齢臭対策には、ノネナールを生成させないような以下の対策をしてみて下さい。
■皮脂と汗をこまめに拭く、洗う、着替えるなどして肌を清潔に保つ
■デオドラント製品を使う
■体臭ケアサプリメントを飲む
■加齢臭の元ノネナールを減らす生活習慣(食生活、睡眠、運動、紫外線対策)
臭いの原因となる汗や皮脂を、長くそのままにして置かないということが基本となります。汗をかいたら拭き取る、毎日入浴して髪も体も清潔に洗う、こまめに着替えるなどです。そしてさらにデオドラント用品の使用も臭い対策として効果があります。
収斂(しゅうれん)作用で毛穴を引き締め、汗と皮脂の分泌を抑え、香料で臭いが緩和されたりすることも期待できます。
また体の内側から臭いの元となるノネナールを減らす習慣を持つこともおすすめします。
体臭ケアサプリメントは、植物由来のポリフェノールや酵素などの消臭成分が配合されていることがほとんどです。
また臭わない体を作るには腸内環境を整えることも大切です。そのための善玉菌を増やす乳酸菌や、活性酸素を抑える抗酸化成分が含まれたサプリを選ぶといいでしょう。
食生活を見直して体の内側からノネナールを減らし、加齢臭を抑えることも必要です。
牛肉、豚肉、バター、チーズ、揚げ物などは加齢臭を悪化させる原因になりますから、それらを控え、そのかわりにビタミンA・C・Eなどの抗酸化作用を持つ食品を摂取すること。
そして軽めの運動には抗酸化酵素の働きを高め、活性酸素の発生を抑える効果があり、質の良い睡眠で、活性酸素を除去することができます。
規則正しい生活を心がけ、できれば1日60分のウォーキングに匹敵する運動と7時間睡眠を確保するようにしましょう。
〇ビタミンA・C・Eを持つ食品
ビタミンA:にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、レバー、卵、乳製品など
ビタミンC:ピーマン、カリフラワー、いちご、キウイ、かぼちゃ、オレンジなど
ビタミンE:枝豆、玉ねぎ、かぼちゃ、ナッツ類(アーモンドなど)、キウイなど
記事監修
-
大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。