片脇だけ臭い
2023/04/11
ワキガというと、両方の脇に同じ症状が出るものと思われるかもしれません。でも片方だけなることもないとはいえないのです。
こういった症状が生じるのは、利き腕ばかり使っていることも関係しています。ワキガ臭はアポクリン汗腺からの汗が要因になるのですが、どちらかの動きが多いとアポクリン汗腺が発達しやすく汗腺の数が増えやすくなります。
今回は一方の脇だけ臭いがする原因や、クリニックで効果的な治療を行う大切さも解説します。
【目次】
片方の脇だけワキガになることってある?
例えば、目が痛いと感じることがあっても、必ず両目が痛くなるわけではないのと同じで、ワキガも両脇に出るというわけではないのです。
脇の下に存在するアクポリン汗腺の数や発汗量は左右で違ってくるので、どちらか一方だけ嫌な臭いを感じることがあります。
逆に臭うのは片方だけだから大丈夫だろうと放置するのではなく、どちらかに独特な臭いを感じたら早めにワキガの可能性を考えて対処しましょう。
片脇が臭う原因は何?
■アクポリン汗腺の量は両方同じではない
汗腺の発達に左右差があるのが、片脇だけワキガになる原因のひとつです。
特に利き腕はしょっちゅう動かしているため、アポクリン汗腺も増え、発達して多くの汗を分泌する傾向があるからです。
■利き腕はアポクリン汗腺が活発になる
よく動かす腕の方が血行は良くなるので、アポクリン汗腺も活動的になってニオイの元になる汗が多くなることがあります。まれに利き腕とは反対の脇にワキガの症状が見られることも。
■遺伝的に汗腺の数が違う
汗腺の数は遺伝によって決まってきます。そのため両脇に存在するアポクリン汗腺の数にも差があり、どちらか多い方がワキガになることもあります。
■治療効果が左右で異なったため
ワキガの治療をしたことがある場合ですが、例えば患者様の片方の脇の汗腺がより発達していたために、左右で治療効果の出方が変わることがあります。
それによって片方の脇だけがワキガ臭がしてしまっている可能性もあります。
■精神性発汗が原因になることも
一方の脇がワキガになる原因は、アポクリン汗腺の働きや数の差だけではありません。
精神性発汗とは緊張や不安、焦りといった感情が高まると発汗が起こる症状で、気温が上昇していないのに汗が出てきます。
このような精神的なことで起きてくる汗によって、どちらかで嫌な臭いを発することもあります。精神性の汗は、脇の下や手足の裏など局所的に分泌されます。
臭いを抑える対策はある?
下半身は、おりものや生理の影響で臭うことがありますので、すそワキガなのか、そうでないのか判断するのが難しいのですが、次のチェックポイントに当てはまるかも確認してみましょう。セルフケアでの対策ではなかなか臭いを改善するのは難しいのですが、以下のようなことを試みると、臭いを一時的に抑えることができる場合があります。
■利き腕だけ使うのを減らす
いつも決まった腕だけを使っていると、そちら側の脇汗が増えてしまいますので、一方の腕ばかり使用するのではなく、別の腕も動かすようにしましょう。
例えばいつも右腕で鞄を持つ方は左腕でも持つ、寝る時に左側を下にする癖のある方は、右側を下にすることも心がけて下さい。
■デオドラント製品を使用
収れん作用と殺菌効果のある制汗スプレーやシートなどを使い、汗腺を引き締めて汗を少なくすることで臭いを抑えることにつながります。
軽度な臭いならば、お出かけ前の衣服に直接スプレーをかけるだけでも薄まることはあります。使う際にはしっかり汗を拭きとってからにしましょう。
■通気性や吸水性の良い衣服を選ぶ
ミネラルや皮脂などが含まれた汗は、そこに雑菌がつき繁殖する過程で臭いが生じているため、汗を取り除くことで常在菌の活動を抑えることができます。
こまめに汗を拭き取ることと、通気性や吸水性の良い素材の服を身に着けることも有効です。通気性の良い綿や麻の衣服を選ぶようにしましょう。
片方のワキガもクリニックでの治療がおすすめ
汗の量は自分の意志でコントロールすることは難しいので、臭いを抑える工夫をしたとしてもワキガを治すことはできません。また、臭いがもともとかなり強力なのがワキガの特徴です。
上記のような方法では、臭いを一時的に軽減することはできても根本的な治療にはならないため、クリニックでの治療をおすすめします。
ワキガは治らないものではなく、医療技術も進歩しているので適切な治療をすれば長く続いたお悩みから解放されるでしょう。
片方だけワキガの症状が出て不安に思われたら、まずは専門クリニックで医師のカウンセリングを受けることをおすすめします。
原因や程度によって治療方法も色々あります。
アポクリン汗腺や皮脂腺を除去する手術や、ボトックス注射で発汗作用を止めたり、マイクロ(電磁)波エネルギーを利用してアポクリン腺、エクリン腺の機能をなくすという方法があります。治療方法によっては保険が適用される場合もありますので、諦めずにまずは専門的にワキガ治療を行っている医療機関で相談して、自分に合った治療法を検討してみましょう。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。