すそワキガとは?
2023/03/14
一般的に「ワキガ」は脇の下から発する臭いと思われがちですが、実はデリケートゾーン(陰部)からも同じような臭いがすることがあります。
このような部位から臭いを発する症状が「すそワキガ」です。臭いの元となる汗が分泌されるアポクリン汗腺は、脇のほかにも耳の中や乳輪、外陰部などにも存在しており、ワキガの方は、そういった別の部位のワキガも併発しやすいといわれます。
また女性は、下着の蒸れや生理、おりものなどの影響で臭いが強調されやすく、それが大きなコンプレックスにもなってしまうこともあります。
今回は、そんななかなか他人には相談しにくい“デリケートゾーンのワキガ”について解説します。
【目次】
すそワキガとは?
独特なワキガの臭いが、デリケートゾーン(外陰部)からする病気をいいます。
この「すそワキガ」は男女ともに見られますが、特に性モルモンの成長が盛んな若い女性に多く現れます。
ワキガの原因は、汗腺の一つであるアポクリン腺からの分泌物です。そのアポクリン腺は陰部にもあって同様な臭いの発生源になっています。
デリケートゾーンの臭いは、ご自身ではなかなか気づきにくいため、大人なってパートナーから指摘され初めて知る、という場合も少なくありません。
そのようなことで大きなショックを受けたり、それがきっかけで異性と積極的に関われなくなってしまうという方もいらっしゃいます。
すそワキガの方の特徴
ご自身の外陰部の臭いがどうしても気になるという場合には、身に着けている下着を確認してみましょう。
体質によって異なりますし、感じ方はそれぞれ違いますので一概にはいえませんが、ネギや玉ネギのようなツンとした刺激臭や、酢や香辛料のクミンのような酸っぱい臭いがすることが多いといえます。
また納豆や、鉛筆の芯の鉛臭、生乾きの臭いがするということも特徴として挙げられます。また耳アカが湿っているということも良く見られます。
セルフチェックのすすめ
下半身は、おりものや生理の影響で臭うことがありますので、すそワキガなのか、そうでないのか判断するのが難しいのですが、次のチェックポイントに当てはまるかも確認してみましょう。
■洗っても臭いが消えない
汗をかきやすい季節になると、誰でも臭いが発生しやすくなります。
ただし、それは一時的にするというものですので、入浴する際に陰部を清潔にしていれば、そんなに気にならなくなるはずです。
毎日洗っているのに、全く臭いが改善されないという場合はその可能性が高いでしょう。
■独特の臭いがする
顔をしかめたくなるような強烈な臭いや、酸っぱい臭いや生乾き臭などの特別な臭いがする場合は、すそワキガを疑われた方がいいかもしれません。
■下着に汗ジミが付く
アポクリン腺は汗が出る腺(汗腺)なので、多く分泌された場合には汗が下着につきやすくなります。
アポクリン腺から出る汗は黄色く、濁った色をしているので、もし下着にそんなシミがつくことが多ければ該当するかもしれません。
■両親にワキガやすそワキガの方がいる
アポクリン汗腺の数は、遺伝する傾向がありますので、両親が両方ともワキガである場合、その子供が発症する可能性は75%以上、どちらかお一人であれば50%以上の確率で遺伝するといわれます。
■乳首からも臭いがする
アポクリン汗腺は乳輪にも多数存在しますので、もし乳首からも臭いがするようであれば、すそワキガであることを考えた方が良いでしょう。
上記のチェック項目に多く当てはまるようであり、ご自身での判断が不安な方は、医療機関で診察をおすすめします。
すそワキガの治療法
■ボトックス注射
シワ取りなど、様々な症状で用いられるボトックスですが、ワキガやすそワキガの治療にも使われています。臭いのある部分にボトックス注射をし、交感神経から汗腺への伝達をブロックすることで発汗を抑えます。
ボトックスは、ボツリヌス菌から抽出したタンパク質の一種で、筋肉の働きを抑制する作用があります。それを利用して眉間や額などの表情ジワの改善や、フェイスラインの引き締め、ワキの汗を抑えるなどの治療におすすめです。
1回の施術で4~6ヶ月ほど効果が見込まれますので、継続的な治療でワキガの臭いの軽減に効果が期待できます。
ワキガの原因となる汗腺のアポクリン腺は、脇の下だけでなく乳輪や外陰部にもあります。そのためワキガが気になる方には、すそワキガも発症している場合があり、その際も一緒に治療を受けて頂けることもできます。
治療法はいくつかありますが、手軽に受けられ、ダウンタイムもほぼないボトックス注射がおすすめです。外陰部ということあり、刺激痛をご心配される方もいらっしゃいますが、痛みを最小限にする麻酔の使用など、配慮しがら施術ができますのでご安心下さい。
記事監修
-
大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。