【ワキガのメカニズム】どうして臭いが発生するの?
2020/02/6
体臭の違いがあるようにワキガの臭いも人によって違いますが、ワキガは独特な臭いがしますよね。
誰でも汗をかけばそれなりにニオイがしてきますが、周囲からワキガと指摘されてしまうほどのニオイになるのはなぜでしょうか?
今回はワキガの臭いがなぜ発生するのかや、おすすめのワキガの治療方法を詳しく解説します。
欧米人の7割はワキガ体質?世界から見た日本人のワキガ事情。
ワキガは悩ましいものですが、実は世界規模で考えると黒人はほとんどの方がワキガだと言われいて、欧米人でも8割の方がワキガ体質だと言います。
しかし、日本と違い欧米人はワキガの概念がなく体臭のひとつとして考えられていて、手術や対処する人はあまりいません。
欧米人は体臭が強い方が多いイメージがありますが、ほとんどの方が自分がワキガだと自覚していなくて、体臭やワキガへの意識が日本人と違います。
一方、日本人のワキガは少ないと言われていて、一般的には全体の1割ほどしかいません。
10人に1人で発症していると言えるので、欧米人と比べると少ないですが、実際想像してみると少し多いように感じるかも知れません。
しかし、ワキガは特殊な病気でもないですし、治療すれば治せることを知っておいてください。
ワキガ特有のあの臭いはどうして発生するの?
ワキガ特有のあの臭いが発生するのは、汗が深く関係しています。
汗を出す汗線には「エクリン汗線」と「アポクリン汗線」の2種類がありますが、ワキガに関係あるのはアポクリン線です。
エクリン汗線とアポクリン汗線には、汗の性質や性質が違います。
エクリン汗線
エクリン汗線から出る汗は粘り気が少ないサラッとした汗で、やや塩分が含まれているのが特徴です。
全身のほとんどの部分にあり、数は200~500万個に分泌していて、主に体温調節をする働きをします。
普段、わたしたちがかいている汗はほとんどがエクリン線から出ている汗で、エクリン汗線から出ている汗は、ワキガの臭いとは関係ありません。
アポクリン汗線
アポクリン汗線はエクリン汗線と違い体の特定の部分にしかなく、特に汗の下に多く分泌しています。
出たばかりの汗は無味無臭なのですが、脂肪やたんぱく質などを含んでいるため、皮膚常在菌によって分解されることでワキガ特有のあの臭いを発生しまうことになります。
また、やや粘りや濁りがあるのが特徴で、黄色い汗じみの原因となっているのです。
アポクリン汗線は毛根部分に開口しているため、毛が生えない部分からはワキガ特有の強い臭いが出ることはありません。
フェロモンの機能を果たしているとも言われているため、ワキの下だけでなく、耳の穴の中や乳輪、へその周り、陰部などにも部分的にあります。
エクリン汗線とは違って、体温調節の働きというよりはフェロモンの働きの方が強いため、汗の量は人種差や個人差があります。
いつ頃からワキガの臭いはしてくるの?
ワキガ特有の臭いは赤ちゃんの頃にはなく、思春期から活発化して中年期以降は収まってくると言われていますが、一体いつ頃から臭いがしてくるのでしょうか?
子供ワキガはいつから?
ワキガ特有の臭いの原因となるアポクリン汗線は、幼い頃には大人しくしていて、第二次性徴期(成長期)に一気に増えてきます。
第二次性徴期(成長期)とは、平均で男子が11歳半、女子が10歳ですので、小学校4・5年頃です。
ワキガは、子供から大人の体に変化していく思春期の時期から始まると言えます。
女子の場合は、男子よりも発症する時期が早めで、生理に関係するエストロゲンというホルモンが、アポクリン汗線の働きを活発にするのが理由です。
ワキガは両親から遺伝する?
子供がワキガになるのは、遺伝が大きく影響しています。
両親またはどちらかの親がワキガ体質だとすると、子供に遺伝する確率は高くなります。
もちろん必ず遺伝するわけではありませんが、親戚の誰もワキガ体質でないのに、子供がワキガになることはとても珍しいことです。
両親の場合がワキガ体質だと90%の確率で、どちらかの親がワキガ体質だと70%の確率で、子供にワキガが遺伝すると言われています。
治療を始めるのは何歳頃から?
子供がワキガだと分かったら、早めに治療を受けさせてあげたいと思いますよね。
しかし、ワキガの治療は何歳から始められるのでしょうか?
当院では、小中学生のお子様でも保護者様の同意を頂ければ治療を受けていただくことは出来ますので、早いお子様だと、小学校4年生ぐらいのお子様から相談に来られています。
しっかりした女の子なんかだと、自分で病院に連れて行って欲しいとお母様に相談されることもありますし、逆にお母様がお子様を気にされて連れて来られるケースがあります。
ワキガは、第二次性徴期(成長期)を迎えているお子様であれば、治療をしっかりと行えばその後に再発することはありません。
そのため、早めに治療を始めることで、お子様の不安を取り除いてあげることが出来ますよ。
ワキガの治療方法
ワキガの治療方法には、「ミラドライ」と「剪除法(せんじょほう)」があります。
剪除法
剪除法とは、昔からある手術のひとつで、保険適応の治療方法です。
ワキに局部麻酔をして、ワキのしわに沿って約2.5㎝~4㎝ほど小さく切開して、皮膚をひっくり返し、専門のハサミを使ってアポクリン汗線とエクリン汗線をほぼ完全に切除します。
目で見ながら、わき毛の毛根の範囲よりひと回り広い範囲を処置しますので、他の手術よりは的確に切除することが出来るためワキガを治すことが出来ます。
しかし、剪除法の手術後は1週間~10日ぐらい一切ワキを動かせないため、生活に支障が出たり、キズ跡が残るのがデメリットと言えます。
キズ跡が残らないミラドライがおすすめ!
ミラドライは、皮膚を切開することなくワキガを治療できる、世界初の画期的な治療方法です。
今までワキガの治療はメスを使った手術で、エクリン汗線とアポクリン汗線を一つ一つ取っていくしかありませんでした。
メスを使った手術はどんなに手術が成功しても、体質や術後の経過によっては、感染や出血などの合併症が起こるおそれがありました。
また、体への負担も大きく、キズ跡が残るというデメリットがあります。
それに比べて、ミラドライは皮膚下から脂肪上層にかけた2~3mmにある汗線にマイクロウェーブ(電磁波)を照射して、熱で破壊していきます。
しかも、汗線は照射すればすぐに破壊されるので、その日のうちにワキガの臭いや汗の黄ばみなどから解放され、通院も不要なのがメリットです。
さらに、効果は半永久的なので、一度施術すれば今後ワキガの悩みがなくなります。
ミラドライは、安全かつ効果的な施術として、今後主流になっていくと思われる最先端の治療方法です。
ワキガに悩んでいる方はまずはご相談ください!
当院では、ミラドライによるワキガ治療は年齢制限がありませんが、基本的には男性は18歳前後から、女性は16歳前後からを目安に案内しています。
その理由としては、ワキガの臭いはフェロモンと言われるように、アポクリン汗線は性ホルモンを分泌する性腺だからです。
女性の場合だと、月経が始まると、アポクリン汗線が臭うようになります。
そのため、初潮が始まる前にミラドライを受けたとしても、ワキガに対する効果が期待できません。
アポクリン汗線を除去するワキガ手術は、ある程度身体が出来上がってから受けることをおすすめしています。
しかし、小中学生のお子様でも、ミラドライでの施術は保護者様の同意をいただければ、受けていただくことも可能ですので、まずはご相談ください。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。