多汗症は自分で治せる?自宅での対策と病院での治療法まとめ
2017/11/29
汗をかくと誰でもニオイが出てしまいますが、我慢しきれないほどの悪臭や衣服への黄ばみが出てしまうのは困ったものです。自分でもできる改善方法はないものでしょうか? 多汗症への対策や、病院での治療法を解説します。
■「多汗症かも」と思ってもいきなり病院には行きづらい…そもそも多汗症の定義は?
もし大量の汗が出てきたとき、すぐに多汗症だと思いますか? 汗をたくさんかいてしまったからといって、即座に多汗症と判断する方はまずいないでしょう。
病院に行こうと思う方も少ないはずです。もし本当にたくさん汗をかいただけならちょっと恥ずかしいかもしれませんし……。
そもそも多汗症とは何でしょうか? 多汗症の定義をご紹介します。
多汗症は無汗症と同様に、汗の病気です。多汗症は全身に大量の汗をかいてしまう全身性多汗症と、体の一部で発汗する局所多汗症に分けられます。
全身性多汗症は特に原因のない原発性のものと、内分泌代謝の異常や神経疾患の合併症として引き起こされるものがあります。
局所多汗症もまた、原因不明の原発性と神経障害によるものに分かれます。
神経障害による局所多汗症は外傷や腫瘍がきっかけになります。原発性の局所多汗症の場合は足の裏やワキなどに大量の汗をかいてしまいます。
手のひらから汗がしたたり落ちるほどの発汗を認める場合もあり、いわゆる手汗とは思えないほどの汗が出てきてしまったら多汗症を疑ったほうがいいでしょう。
腋窩多汗症は、緊張した際や温度変化があったときにワキの下から出る汗が異常な量になるというものです。下着や衣服にシミができるほどであれば、多汗症の可能性があります。
原発性局所多汗症は幼児期~思春期に発症することの多い病気です。
■自宅でできる多汗症対策
多汗症の主な対策として、1つは薬剤の塗布です。局所多汗症の場合は制汗剤をワキなどに塗布すると原因のはっきりしないものでも症状が抑えられます。
塩化アルミニウムを主成分とする制汗剤が効果的で、市販されているものもあります。ニオイを抑える効果も期待できます。
ベーキングパウダーなどに使われているミョウバンを水に溶かしたものにも制汗作用があります。
体に塗布する対策をした後は、いずれも塗ったものがよく乾いてから服を着るようにします。
外用剤の他に抗コリン系の内服薬を使用すると、薬を塗布できない頭や全身多汗症の対策になります。保険適応があるプロバンサインという治療薬があります。
効果は人によってばらつきがあり、副作用として口が乾いたり眠くなったりするケースも認められています。継続した使用はせずに、汗が出やすいときに飲むのがおすすめです。
■根本的に治すなら病院で
制汗剤やミョウバン水には優れた効果があるものの、多汗症そのものの原因を治療できるわけではありません。内服薬も副作用があり、常に服用するのは現実的とはいえません。
多汗症の根本的な治療をしたいときは、病院で受診するのが最適でしょう。その場合、どの科を訪ねるのが適切でしょうか?
原発性ではなく、外傷や腫瘍が原因になる局所多汗症の治療なら皮膚科が適しています。
全身性多汗症は内分泌代謝の異常や神経疾患の合併症が原因となっている可能性があるため、内科を受診するとよいでしょう。
発汗異常外来などでは多汗症の重症度の判定も行っており、判定後は多汗症の重症度に合わせた治療に移行します。実際に手のひらにかいた汗の量などが分かります。
受診する前に重症度のセルフチェックもできます。まずは、汗が出る場所は一部なのか全身なのかを把握しておきましょう。
汗ばむ程度の症状なら重症度は1。汗で体が濡れてしまうようなら重症度2。汗が水滴となってしたたり落ちるときは重症度3です。
重症度が高い場合は自宅でできる対策をしても効果が感じられにくく、日常生活にも支障が出るケースが多いです。
血縁者に多汗症の方がいたり、睡眠中はそれほど汗をかかないという場合は既に多汗症になっている可能性が高いので、やはり受診したほうがよいでしょう。
記事監修
-
大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。