ワキガ&多汗症治療の塗り薬、エクロックゲルとは?
2022/02/1
【目次】
普段から汗が多くても、
自分が本当にワキガや多汗症なのか
はっきりわからない、
という方もいらっしゃいます。
また支障をきたすほどなのか
どうかのご判断は、
生活スタイルや考え方でそれぞれです。
そもそも治療できるということを
知らない方もいらっしゃいます。
そういった背景から、
多汗症でお悩みの方は
たくさんいらっしゃるのに、
受診率は低く10%にも
満たないといわれています。
そこで、はじめて受診する方の
不安や治療の負担軽減のために
ご紹介する治療が、
ワキ汗用塗り薬「エックロックゲル」です。
一日一回ご自身で塗るだけ。
ワキガの原因にもなる
原発性腋窩多汗症(ワキ汗)への
効果が認められている
外用薬についてご説明していきます。
初の保険適応のエクロックゲルとは
エクロックゲルは、昨年2020年に
日本初の保険適応となった
原発性腋窩多汗症(ワキ汗)用の塗り薬です。
多汗症の治療としては、
これまでも内外用薬や手術、
ボトックス注射などがありました。
しかし塗り薬でも
保険が適応されなかったり、
治療費が高額であったり、
また注射や手術することによる
痛みや副作用、ダウンタイムなど
問題点がありました。
そういった患者様の負担を
軽減する意味でも、
この新たに登場した
エクロックゲル治療法が
期待されています。
この塗り薬は、汗腺から分泌され
多汗症やワキガの原因となる
アセチルコリンの働きをブロックし、
過剰な汗を抑えます。
この薬剤を単体で使用した場合、
80%の方が汗を抑えられ、
60%の方は日常生活に支障がない程度に
改善したそうです。
また厚生労働省から
認可された薬剤ですので、
市販のものより医療的な治療効果が
期待できます。
原発性腋窩多汗症とは
原発性腋窩多汗症とは、
特に病気でもないのに
ワキから大量の汗をかく
という症状をいいます。
緊張やストレス、自律神経の乱れ
といった精神的なものや、
気候や寒暖の差などに関わらず、
日常的に多量の汗が分泌される点が
特徴です。
つまり、明らかな原因もないのに
ワキの汗が多い場合が、
「原発性腋窩多汗症」です。
では、どの程度の量なら
多いといえるのでしょうか。
多汗症かどうかわからない、
と不安に思っている方は多いので、
判断基準をご説明します。
≪原発性腋窩多汗症の診断基準≫
シャツに汗染みができるほどのワキ汗が、
6ヵ月以上続いている方、
さらに次に挙げる5つの症状があるか
チェックしてみましょう。
もし2つ以上あてはまっていると
思われる方は、
原発性腋窩多汗症を疑って良さそうです。
- はじめて多量のワキ汗を自覚したのが25歳以下
- 左右両方のワキで同じ発汗がみられる
- 寝ている間は汗が止まっている
- 1週間に1回以上は多汗がある
- 家族にも同じ症状の方がいる
上記に思い当たることがあれば、
エックロックゲルを処方する対象に
十分なりえます。
ワキ汗が気になって
日常生活に集中できない、
支障をきたしていると
ご自身が感じていれば、
治療をして頂くのが良いといえます。
エックロックゲルの使い方&副作用
手軽にお家で塗るだけというワキ汗治療。
当院で診察して頂いて処方いたします。
とても簡単に塗れるので、
どなたでも使って頂けます。
■ 使用法
1日1回、
朝でも夜でもいつでも良いので、
毎日塗ります。
エクロックゲル1本が20gですので、
だいたい1本で14日間分に相当します。
使用量は、
ワキの左右で各ポンプ1押し分。
それをアプリケーターの上に
プッシュして、
ワキに当てて塗ります。
その後は乾くまで、
衣服や寝具に触れないようにして下さい。
基本的にゲル製剤なので、
すぐに乾きますが、
ご確認してから衣服を着て下さい。
使用後にアプリケーターに残った薬は、
清潔な布などで丁寧に拭き取るか、
水で洗い流して下さい。
1日1回の塗布で1日効果が持続しますが、
もっとも効果が現れるのが
使用後4時間で、
それ以降少しずつ減っていきます。
■ 考えられる副作用
塗った部分のかぶれ、
皮膚炎が主なものです。
まれに口の渇き、便秘、目のかすみ、
尿が出づらくなるなどがあります。
また緑内障の方や
前立腺肥大のある方は
ご使用頂けません。
このように、
エクロックゲルは1日1回、
ワキに塗り続けるだけで
多汗症の改善が期待でき、
大きな副作用もない事から
多くの方に使用頂ける薬剤です。
ワキ汗でお悩みの方は当院まで!
汗ジミが心配で好きな服が着れない、
人目が気になってしまう、
ワキに垂れてくる汗が不快で
何事にも集中できない…。
そんな症状のある方は、
ワキの多汗症かもしれません。
ご紹介したエックロックゲルは、
病院で手術や注射などをすることもなく、
ご自身で1日1回塗るだけで
多汗を緩和できます。
保険適応になった初の外用薬で、
従来の塩化アルミニウムローションより
効果が高く、
ワキ汗を抑える作用を期待できます。
エックロックゲルの処方につきましては、
医師の診断が必要になります。
ワキ汗でお悩みの方は、
お気軽に当院へお尋ねください。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。