子供のわきが治療について
わきがは早ければ小・中学生でもニオイが強くなります。もし小・中学生のお子さまがいて、本人がわきが臭について悩んでいるとしたら大変な問題です。
小・中学生のわきがはどのように治療するのがベストなのでしょうか?
【目次】
子供のわきがの原因は?
子供ワキガの原因は基本的には大人のワキガと変わりません。
エクリン腺やアポクリン腺と呼ばれる汗腺から出る汗は、ミネラル分を含んでいます。ワキに常在する菌がその汗を分解すると、ワキガ特有のニオイが出始めてしまいます。
これらの汗腺は大人になるにつれて発達するため、年齢とともにワキガを自覚し始めることが多いのですが、小学生ぐらいであっても身体的な発達が早いと、ワキガのニオイが気になってしまうこともあります。
ここで理解しておきたいのは、子供のワキガ治療は決してまれなことではないということです。(たとえば、大西皮フ科形成外科では10歳のお子様を治療させていただいたこともあります。)
また、ワキガのニオイに気がついた家族の方が子供と一緒に診察に来られるケースも多いです。
わきがの対策と治療方法
わきが対策・治療方法はいくつかあります。クリニックに相談するとニオイ対策の方法なども含めた詳しい説明を受けられるでしょう。小・中学生の場合は学校へ行っていますから、学校でのニオイ対策は欠かせません。
軽度の対策:ニオイを減少させる方法
- ミョウバン水やデオドラント
- 制汗スプレー
根本的な治療法
- 剪除法(切開を伴う手術)
- ミラドライ(切らない治療)
そもそもなぜ小・中学生でもわきがになってしまうのかというと、体が成長しているためです。わきがの原因となるアポクリン汗腺は誰の体にもあるものですが、わきがの方はこのアポクリン汗腺が活発化しています。
アポクリン汗腺は大人になるとイクラほどの大きさになりますから、成長すると子どもでもそこから発生するニオイが強くなっていくのです。
このワキガの原因であるアポクリン汗腺に直接はたらきかけ、根本的に治す方法としては、現在、剪除法の手術と、ミラドライという医療機器を使用した治療法があり、ミラドライが最もおすすめです。
ミラドライがおすすめな理由
わきが治療では直視下手術法である剪除法が有名です。
保険適用されるケースが多いです。治療費の負担が少ない手術ですが、メスでわきの下の皮膚を切開する必要があります。剪除法ではわきの皮膚を裏返したあと、医師が直視下でアポクリン汗腺を一粒ずつ除去していきます。そのためわきがの再発率が低いです。
しかし、小・中学生のアポクリン汗腺には未発達のものも存在します。医師の目にも見えないようなアポクリン汗腺を除去しきれずわきが臭が再発するケースもあるようです。
また、剪除法のデメリットは手術痕が残り、しばらくは傷跡を保護しなければならない点です。さらに、わきにガーゼをしっかり固定する際タイオーバーと呼ばれる独特の痛みも発生します。
手術痕や痛みといったデメリットを考慮すると、患部を切るわきが治療は小・中学生向きではないでしょう。
小・中学生におすすめのわきが治療はミラドライです。
ミラドライの治療法はわきの皮膚にマイクロウェーブを照射し、アポクリン汗腺を熱破壊するというものです。手術中に痛みが出ないよう局所麻酔はしますが、皮膚を切開しないため感染症のリスクがなく安全です。マイクロウェーブを照射した範囲の汗腺にはたらきかけるので、目視では見逃されるような未発達の汗腺も破壊できます。
ミラドライにもデメリットはある?
切らずに治せるミラドライですが、デメリットはあるのでしょうか?
一つは保険適用外になるという点です。わきが治療の際に手術痕が残らないようにするのは審美性を重視した方法でかつ最先端の治療のため現在のところ保険適応外となっています。そのため治療は自費治療になります。ミラドライは保険適用されやすい剪除法と比較すると治療費の負担が大きいです。
ミラドライには副作用もあります。
切らずにできるとはいえ汗腺を熱破壊するわけですから、術後につっぱり感、赤み、腫れなどは発生します。ただしこれらは数日~数ヶ月程度で消えるものなので、手術のように傷跡が残るわけではありません。マイクロウェーブの出力がどの程度ならお子さまの体の負担にならないかなど、治療前に医師のカウンセリングを受ければ納得して治療を受けることができます。
また、ミラドライによるわきがの完治率1回では70~80%と言われています。1回では完全には汗腺を除去できない点に不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、2回目の治療を行なうと約90%の完治率とされています。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。