”ワキガがうつる”はデタラメです。ワキガについて正しい知識を。
2018/11/6
ワキガの人の近くにいるとワキガがうつるということはありません。
「ワキガは他の人にうつる」という事実無根の噂があるようです。あたかも、ワキガが感染症
のように扱われていますが、実際に、ワキガがうつるといったことはありません。しかし、ワキガのニオイがその場に残ることはありえますし、そういった意味では伝染はしなくても「ニオイ移り」をする可能性はあります。
今回は、ワキガが起こる原因と不快なニオイの解決方法を解説していきます。
感染する病気ではない理由を解説します!
そもそも、ワキガとはウイルスや細菌が原因ではない以上、原因となる何かが他の人にうつる心配はありません。
まず、「ワキガが起こりやすい体質の人がいる」、ということを理解しておくことが大切です。もちろん、ニオイというのは人によって感じ方に個人差があるため、「どうしてもワキガのニオイがダメ」という人もいるでしょう。そのため、ワキガの治療は社会的な生活を送るうえでも、行っておくことを推奨します。
ワキガがおこりやすい体質って?
ワキガが起こりやすい人とそうでない人は、皮膚にある「汗腺」の数に違いがあると考えられています。特に、アポクリン腺という特定の汗腺から出る汗は、脂分やたんぱく、アンモニア系の成分が含まれているため、さらっとした汗ではなく、独特のベタつきがあります。
しかし、この汗がそのまま原因となって、ワキガ独特のニオイを放つわけではありません。アポクリン腺から出た汗を細菌が分解してしまうのですが、この時に、あの不快なニオイが生まれてしまいます。また、この細菌も決して珍しいものでなく、健康な人の皮膚にも住み着いている「常在細菌」が原因だと考えられています。
また、今までワキガになったことがない人であっても、ストレスや食生活など、何らかの原因で、アポクリン腺の活動が活発になると、「今まで気にしたこともないのに、ワキガのニオイがする…」と、急に自分の脇のニオイに気がつくことがあります。
ワキガ臭のニオイ移りはしてしまいます
いくらワキガはうつらないといっても、周囲の人に不快感を与えている可能性があります。「ワキガそのものがうつる」という噂が広がってしまったのは、ワキガのニオイ移りと混同が起こっているのかもしれません。
めったにありませんが、服を貸し借りした際に、ワキガをもつ人に貸すとそのニオイは一時的に移ってしまう可能性があります。しかし、先ほど説明したように、ワキガのニオイの原因は細菌の分解物なので、綺麗に洗い流せば、ニオイが残り続けることはありません。
洗濯物は分けた方がいいの・・・?
気になるのは家族がワキガの場合、「洗濯は分けたほうが良いかどうか」ということではないでしょうか?
脂質やたんぱく質を含むワキガの汗は付着したまま放置しておくと、汚れやニオイは落ちにくくなってしまいます。また、洗濯カゴに家族の衣類をすべてまとめている場合は、長時間そのままにしておくことで密着している服のニオイが移ってしまう可能性があります。
ワキガの人の衣類とそうでない人の衣類を一緒に洗うことで、明らかにニオイがうつることはありませんが、洗濯前の衣類(特に汗で濡れたもの)をまとめて放置しておくと、よりニオイが気になってしまうかもしれません。
ニオイ移りが気になるワキガは、クリニックで早めの治療をおすすめします。
ワキガがうつるものではないということはお分かりいただけたと思います。しかし、ワキガのニオイをケアしておくことは、最低限のエチケットと考えておきましょう。
そのため、ワキガのニオイに悩んでいる人や、ニオイを指摘されたことがある人は、1日も早くワキガ治療を検討してみてはいかがでしょうか?
最近では、切らずにワキガや多汗症の治療ができる「ミラドライ」という機器が登場し、経済的な負担はもちろん、身体への負担も大きく軽減できるようになりました。
治療後に傷が残らないため、周囲の目を気にする必要もありません。ぜひ、気軽な相談から始めてみましょう。
記事監修
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大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。